超バカの壁

超バカの壁 (新潮新書 (149))

超バカの壁 (新潮新書 (149))

養老先生の新潮新書での3冊目である。
彼は「バカの壁」の大ヒットで、箱根に立派な虫の博物館を建てたらしい。
果たして、これは売れるのかどうか。


話題がかなり多岐にわたっているので、これこれこういうことが書いてありますよ、と
要約はできない。そういう内容であることは、まえがきに書いてある。


ただ、一貫して「ああすればこうなる」式の考え方は危ないよ、ということは言っている。
脳内の処理のように、あらゆることがコントロール可能であるというのは錯覚だ。
自然というのは、山川草木ばかりでなく、自分の身体も、子供も、恐らくは他者も含まれ
る。思い通りにならないものを、なるべくお互いの負担にならないように処理していく
のが大人ってもんじゃないの、ということだろうか。


そういえば池田清彦が「やぶにらみ科学論」で

やぶにらみ科学論 (ちくま新書)

やぶにらみ科学論 (ちくま新書)

「近代国家は好コントロール装置である。この装置の欲望は、世界を人々の生死まで
含めてコントロールしたいということに尽きる」と言っていたっけ。
また、橋本治が「乱世に生きる」で言及してしたエコノミストというのは、この
好コントロール装置が脳内にビルトインされている人間のことかもしれない。


養老孟司池田清彦は、虫仲間なので、奥本大三郎と三人で「三人寄れば虫の知恵」
という本も出している。

興味のある方は是非。


あ、蛇足ですが、第6章「戦争責任の問題」、第7章「靖国の問題」は、読んでて
スッキリしました。