一億三千万人のための小説教室

一億三千万人のための小説教室 (岩波新書 新赤版 (786))

一億三千万人のための小説教室 (岩波新書 新赤版 (786))

この本の最初で、高橋源一郎は小説と「小説のようなもの」を分けます。
そして、最終的に読者が「あなたが、あなただけの、すばらしい小説をつかまえること」
ができるように、20個の鍵を渡してくれます。


ただし、その鍵をもらったからといって、すぐに小説が書けるようになるわけでは
ありません。
作者は、小説を書き始める前の、ことばにならないもやもやした何かを、どうにかして
つかまえるレッスンをします。それが基礎篇の部分です。


カート・ヴォネガットが「パームサンデー」か「ヴォネガット、大いに語る」で言って
いましたが、小説を書くことは、自転車の空気入れで飛行船を膨らますようなものなのだ
そうです。
つまり、誰にでも始められるけれど、最後までやれる人はとても少ない、ということで
しょうか。


実践篇では、小説をボールに例えて、どんなボールが来ても本能的に身体を動かせる
ようにしなさい、と教えてくれます。
小説と遊ぶ、という表現を使っています。
実は、これが最も難しい部分ではないかと、私は思いました。


というのも、私はまず何かを読むときに、意味や内容を求めてしまうからです。
そして、自分がつまんないな、と思ってしまったら、もう二度と読まない。
それじゃいかんということでしょうね。


幸いにも、私は小説を書く能力がないので、文学という地獄に突っ込まないでいられ
ます。
ただ生きているだけでもいいんじゃねーか、と半ば開き直った人生なので、一遍の小説に
なることもなく、ふわっと消えてしまえたら最高であります。
(↑だったらブログなんか書いてんじゃねーよ(笑))