コメント欄に書くのは長すぎるから、こちらに書いておこう。
デートムービーは商売なのだから否定出来ないし、多くの人がそれを望んで
いるのだからしょうがないのだろう。
昔の映画会社だってそんなのばかり作っていて、今では忘れ去られた作品が
ほとんどだと思う。
たまたま1950年代の日本映画は、人材や予算が奇跡的に集まって怒涛のように
名作が作られたけれど、それは特殊な時代だったのだろう。
ハリウッド映画も山あり谷ありだが、1990年代以降は古典となるような名作が
作れなくなっているように見える。
とはいえ、映画の可能性を信じている人はいつの時代にもいて、そういう人の
情熱が次の名作を生み出すのだろう。
興行的に失敗しても後に見直される作品だってあるし。
問題は、古典的な名作をきちんと見るという教養主義が、もはや若者にとって
意味のないものになっているということだ。
その一方で、面白い映画を教えてください、という質問はネットにあふれて
いる。もしそういう質問に「七人の侍」と答えても、白黒映画っスか、と
受け付けてもらえないだろうが。
結局、どの世代も、映画は暇つぶしのための娯楽にすぎないと思っている
人が大多数で、それが普通なのだ。
映画ばかりでなくマンガや小説だってそうだろう。
その大多数の人がなんだか分からずに見に行くものを、大ヒット作というの
だと思う。
一度火がつくと、もはや実写とかアニメとかは関係ないのだろう。
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ここで問題を整理するために、デートムービーを2種類に分けてみよう。
一つはマンガやアニメを実写にしたもの、もう一つは軽い小説を実写にした
ものだ。
軽い小説というのは、純文学でもなく直木賞的な大衆文学でもなく、まさに
「陽だまりの彼女」とか「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」みたいな
もので、一時期流行した携帯小説もそれに含まれる。
(ライトノベルはほとんどがアニメ化されるのでここでは除外しておく)
軽い小説の実写化は、デートムービーとして効率がいいし、もともとの絵が
ないのでイメージのズレも起こらない。
なので、あまり罪もないと言えるだろう。
一方、マンガやアニメの実写化はほとんど失敗している。イメージをうまく
表現できないからだ。監督の無能と予算の無さが原因だろう。
「四月は君の嘘」はマンガを深夜アニメにして、これは名作になった。
なぜそれをわざわざ実写化しなければならないかといえば、アニメが嫌いな
人が多いからだ。
日本の国内興行収入ベスト10のうち半分がアニメなのだから、単なる偏見に
すぎないのだが、こういう人たちは話題にならないと絶対にアニメを見ない。
ある意味、かわいそうな人々である。
彼らが自分たちを正しいと思っているのは、人数が多いからだろう。
映画はビジネスだから、多数派向けに作らないと費用を回収できない。
アニメから劣化した実写を作るというバカみたいなことが何度も行われて
いるのを、心ある人はうんざりしていると思うが、営利企業としては
やめららないのだ。
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幸い、今年はアニメ・特撮映画の当たり年だから、これをきっかけに多数派の
意識が変わってくれたらいいと思うけど、たぶん年末年始にスターウォーズの
新作を見て、そんなことはあっさり忘れてしまうのだろうな。