いまさら翼といわれても

いまさら翼といわれても

いまさら翼といわれても

待ちかねた古典部シリーズをようやく読むことができた。
世界観がきちんと出来上がっているので、読者はただ物語の中を進んでいけばよい。
至福の時間だった。


この単行本にはアニメ化された「連峰は晴れているか」が収録されており、千反田える
わたし、気になります!」はこのエピソードだけにしか出てこない。
というよりも、千反田えるが活躍する話がほとんどなく、読者としては心配になる。
できれば彼女を幸せにしてほしいのだが、私が生きている間にその物語は読めるのか
どうか。


私が好きなのは「鏡には映らない」で、折木奉太郎のアンサングヒーロー然とした
振る舞いが格好良かった。
ブチ切れていた鷹栖亜美は、どんな高校生になっているのだろう、と想像してみたが、
たぶん普通の日常を送っているのだろう。敢えて彼女のその後を描かなかったのが
うまいと思う。


ちなみに私も中学校の卒業文集に縦読み(というか縦書きだったから横読み)を
仕込んでいたのだが、たぶん誰にも気づかれずに今に至っている。
犯罪者になったときワイドショーで明かされるかもしれない。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

ブックオフで100円で売っていたので興味本位で買ってみた。
たまたま映画の予告編を見ていたからだ。


なんと言えばいいのだろう「陽だまりの彼女」系の小説といえばいいだろうか。
デートムービーの原作の需要というのは途切れないのだなぁ、というか。
リア充が見て、よかったね、と言ってほっこりする映画のため書かれたような
ものだ。



これは本当かどうか分からないが、実写化された「四月は君の嘘」の興行収入
35億円だったというのにびっくりしている。
予告編を見て、こりゃあかんな、と思ったものが、劇場版「ガルパン」を超えて
いるのだ。


つまり、リア充たちは、面白い映画を見に行くのではなく、話題になっている
映画を見に行くのである。
そして、そのような映画を見るリア充は、原作のマンガなど読む気もなく、ただ
人気のある俳優が動いていれば感動するのだ。
(「四月は君の嘘」の実写版を見てないので、もしかしたらすごい名作だったの
かもしれん。そうだとしたら申し訳ない)



だとしたら、原作はそこそこ感動する切ないストーリーがあればよく、あとは
旬の俳優を押さえて撮影すれば一丁上がりである。
そして宣伝に力を入れたら、リア充は勝手に映画館に入ってくれる。
なんとボロい商売だろうか。


いくら深夜アニメに面白いものがあっても、リア充は見向きもしてくれない。
実写化してようやく話題になるのである。
黒人のリズム・アンド・ブルースを白人が唄って大ヒットさせるようなものか。