Boaz2014-08-22

BSでロビン・ウィリアムズ追悼のため「グッド・ウィル・ハンティング」を
放送していたので、17年ぶりに見た。


当時も今も、いい映画だという評価は変わらないのだが、オッサンになって
見たら、取り残されたベン・アフレックたちはどうなるんだろう、と思った。



米国では、学歴が生活を分断している。
勉強ができるかどうかは、自己責任とされている。
頑張った人だけが豊かな暮らしを享受できることになっている。


ベン・アフレックマット・デイモンが書いた脚本では、貧困層に天才がいたら
どうなるか、というアイデアを膨らませている。


虐待によって心を閉ざした天才は、妻を亡くしてやはり心を閉ざした心理学者
によって社会と向き合うきっかけをつかむ。
もし、この心理学者をロビン・ウィリアムズが演じていなければ、映画はかなり
つまらないものになっていただろう。



私には、マット・デイモンは、天才だから救われたのではないか、という疑問がある。
特殊な才能がなければ、下流の生活に甘んじるしかないのだろうか、と。


ほとんどの米国人はマット・デイモンではなく、脇役のベン・アフレックである。
皮肉なことに、ベン・アフレックが演じる階層にいる米国人は、「グッド・ウィル・
ハンティング」のような映画を見ない。
たぶん「メリーに首ったけ」みたいな映画を好むはずである。


ということは、「グッド・ウィル・ハンティング」はお上品なインテリがちょっと
感動する映画、ということになる。
そして、ベン・アフレックのような人々が生活していることは、映画を見終わったら
忘れてしまうのだ。


実は、義務教育がもっとしっかりしていれば、富裕層と貧困層に二分された社会
ではなく、分厚い中間層が形成されるのではないか、とも思う。
これは米国のみならず、米国型の資本主義社会の欠点だろう。



ところで、この映画には誰も銃を持っている場面がなかったが、ボストンの
貧困層には銃が普及していないのだろうか。


あと、マット・デイモンが恋人を追ってカリフォルニアにクルマで向かう
場面で映画は終わるのだが、彼はどのくらいお金を持っていたのだろう。


ボストンからスタンフォードまでのガソリン代がどのくらいかかるか
分からないが、宿泊代も含めて5万円ぐらいは必要なのではなかろうか。


……こういうアラ探しは、映画の価値を貶めることになるから、もう
やめよう。