館長 庵野秀明 特撮博物館

愛媛県美術館で開催されている「館長 庵野秀明 特撮博物館」を
見に行った。今月23日までなので、滑り込みセーフだ。


平日の午前中、しかも大雨が降っているというのに、わりと人が
来ていた。大人気の企画だったのだろう。
実際、面白かった。



約30年前、友達に誘われてダイコンフィルムを見に行き、そこで
庵野秀明の「帰ってきたウルトラマン」を見たのを思い出した。
あのときから彼は何も変わっていないのだ、と確認できた。


私はそこに、オタクの執念のようなものを感じた。
30年前、特撮やアニメは世間の大人たちに蔑まれていた。
いまではサブカルチャーが美術館の展示物になっている。
エヴァンゲリオン」の大ヒットがなければ、こんなことはなかった
だろう。



もうひとつは、当時の特撮を作っていた大人たちの志の高さである。
本気ですごいものを作ろうと必死になっていたことがよく分かる。


個人的には、成田亨が描いた油彩のウルトラマンとウルトラホークが
見られてよかった。


その隣にあった成田亨の文章に、怪獣のデザインがつまらなくなった
のは、デザイナーがデザインしているからだ、とあって、なるほどと
思った。


デザイナーは依頼主の目を気にしてデザインするので、自分の中から
出てくるものが作れない、という意味のことが書いてあり、では現在
の彫刻家は成田亨と同じようなクオリティの怪獣が作れるのか、とも
思った。



庵野秀明は特撮を意識してアニメーションに応用した人だが、それ以前に
同じことをした人がいるのだろうか? 


彼と同世代のクリエイターは、そういう人が多いような気がするが、単に
彼らの少年期と日本の特撮の全盛期が重なっていたからにすぎないから
だろうか。


現在の子供たちは、大人になったときに、特撮愛とでもいうべきものが
失われているような気がする。
そういう危機感が、この展示を企画させたのだろうけど。



協力が得られなかったのか、東映の戦隊物や仮面ライダーシリーズの
展示はなかった。それが残念だ。


次はどこで開催されるか分からないが、このような特撮セットを自由に
撮影できるスペースもあるので、是非行かれることをお勧めする。