18歳の著作権入門

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

タイトル通り、高校生向けの本だが、著作権についてよく分かって
いない私のようなオッサンでも面白く読めた。


短くトピックを分けて、最後にまとめとチェック問題をつけており、
著者は受験勉強も得意だったに違いない。
なにしろ東大法学部卒で日本と米国のニューヨーク州弁護士資格を
持っているのである。


私が心配しているのは、TPPによる非親告罪化であり、著者も反対を
表明している。
何の根拠もないが、こういう法律を作りたがるのは、米国の弁護士
たちで、クリエイターとは関係ないところで金儲けをしたがる連中だ。


著作権とは関係ないが、どうして米国では強欲であることが善と
されるのか、不思議である。



もうひとつ、JASRACについて肯定的な見方も示しており、そのあたりは
著者の見識だと思った。


また、意外に知られていないこととして、
1.非営利目的であること
2.観客などから料金を受け取らないこと
3.実演家、口述者に報酬を払わないこと
という条件を全て満たせば、許可も支払いも必要なく、例えば学園祭の
バンドで演奏したり、演劇を上演したり、映画の上映ができる、と書い
てある。


ツイッターで、結婚式の披露宴で流す音楽は、式場で用意された音源を
使う以外は、CDの原盤しか使用できず、CD-ROMやダウンロードしたものは
使えない、というツイートがあったが、これはどうなんだろうか。


自分で編集した音楽で披露宴をしたいという人も多いはずだが、
JASRACがあまりに官僚的な対応しかしないと、恨みを買うばかりで
いいことはないと思う。



本書の最終章にある「著作権は何のためにあるのか」という問いかけを
私たちは考えるべきなのだろうな、という平凡な感想で終わる。