仏像鑑賞入門

仏像鑑賞入門 (新潮新書)

仏像鑑賞入門 (新潮新書)

和辻哲郎の「古寺巡礼」を読んでクタクタになった。
もっと手頃なものを、と本屋で見つけたのがこれだ。


さすがに分かりやすく書いてあるものの、やはり「古寺巡礼」は
読んでおくべし、とある。ぬぅ……。


本書では、そもそも仏像とは何か? なぜ日本には1000年以上前の
仏像が残っているのか? 美しい仏像はどうして奈良に集中しており
京都には少ないのか、ということが解説されている。


奈良時代に作られた仏像をいまでも鑑賞できるのは、とても幸運な
ことなのだ、ということがよく分かる。


私も時間とお金があれば、奈良に行ってレンタカーを借りてお寺
めぐりをしたいものだ。


3年ぐらい前に、ふと関西に旅行に行ったときに奈良も訪れて、
東大寺興福寺なども見たのだが、予備知識がないとうまく
鑑賞できなかった。


この本では、見るべき仏像の紹介はしているが、解説はあっさり
している。「古寺巡礼」のようなフェティッシュな感じはない。
その意味で万人向けなのかもしれない。



廃仏毀釈運動について書いてある章で、奈良県天理市の内山永久寺に
ついて触れている。現在は大きな池しか残っていない。

 それだけ規模の大きな寺院だっただけに、優れた仏像を多数要していた。
現存するものには、所蔵は東大寺だが奈良国立博物館に寄託されている
木造の持国天多聞天像、東京国立博物館静嘉堂文庫、MOA美術館の3館に
分かれて所蔵されている四天王眷属像、東京の世田谷山観音寺蔵の不動明王
及び八大童子像などがある。四天王眷属像と不動明王像は、運慶の孫の康円の
作とされる。ただし、今あげたものは本尊に当たるものではない。本尊は
阿弥陀如来像で、それは現在行方不明である。それがいかなるものか分から
ないが、寺の規模からするとかなり注目すべき仏像であったに違いない。

とある。


行方不明の阿弥陀如来像は、いまどこにあるのだろうか? 
ギャラリーフェイク」あたりでネタになっていそうである。