ある提案に対して、賛成か反対かを決めるときに、デメリットを根拠に
して反対する人がいる。
私はその反論に違和感がある。
たとえば、クルマを社会に導入するとしよう。
暮らしが便利になるメリットと、交通事故で死傷者が出るというデメリ
ットが予測される。
この両方を勘案して、メリットの方が大であると判断すれば導入される
だろう。
ところが、デメリットを根拠に反対する人は、一人でも死傷者が出れば
それは社会に対して害悪であり、導入すべきではないと主張する。
理想的にはそうかもしれないが、世の中にメリットだけあってデメリッ
トは一切ない、というものはそれほど多くないだろう。
ちょっと考えたら分かりそうなことだ。
では、デメリット派はどういう心理で反対しているのか?
それは、ものや制度そのものに反対しているのではなく、その提案をし
た人や団体が嫌いだからである。
なぜ嫌いなのかは、いろいろ理由があるのだろうが、とにかく感情的な
ことが根拠なのだから、何を言っても反対しかしない。
本来は妥協して対立を解消するべきところも、こういう人がいるとダメ
になってしまうことが多い。
一部の欠点を全体の欠点であるかのように議論をすり替える人に対して、
私たちは注意しなければならないと思う。