音楽ライターが、書けなかった話

音楽ライターが、書けなかった話 (新潮新書)

音楽ライターが、書けなかった話 (新潮新書)

軽ーく読み終えられる新書で、「書けなかった話」というよりは、こぼれ話と言った方が
いい内容だ。
特に深い話もないが、読みやすさが身上で、ジャズファンやロックファンなら、へぇーと
思うような話がいくつかある。


よくブログなどでは、**に関する50(あるいは100)の質問というのがあって、テンプレ
ートに従って答えている。
みんな潜在的にはセレブみたいにインタビューされてみたいのだろう。


ただし、インタビューは、する側になってみると簡単ではない。
答える方も、相手がどんな質問をするかでレベルを測っているから、あなたにとって**
は何ですか? なんていう抽象的な問いかけをすると、こいつはこの程度なんだな、と思
ってしまうだろう。


たしか立花隆が東大で教えていたときに、調べて書く、というのをやっていたと思う。
自分がインタビューしたい人を選んで、どんなことを質問したらいいのか考え、実際に質
問し、それをアウトプットしてみる、という作業をさせていた。
それを本にまとめたのがこれだ。



おそらく、ほとんどの人は誰からも取材されることなく一生を終える。
ある意味、自分には誰も興味を持っていないという証拠でもあるが、しょーもない質問に
悩まされなくて済むことでもある。


インタビューの面白いところは、質問された本人が初めて気がつくことがあるところだ。
うまいインタビュアーは、そういうポイントを突いてきて、自分の弱点とか無意識を明ら
かにする。
ずけずけと自分を分析されて腹が立つこともあるかもしれないが、新しい自分を発見して
くれたと、インタビュアーを信頼する場合もあるだろう。


しかし、どういうわけか音楽・芸能関係以外で、面白いインタビュー記事を読んだことが
ない。
文藝関係だと、座談とか対談がメインで、作家どうしが語り合っていることが多かったよ
うな気がする。今はそういう対談すらやらなくなってしまったけど。


また、科学関係では立花隆が頑張っていて、知の巨人と呼ばれていたけれど、本当はそう
いう人が何人もいて、サイエンスの最前線を分かりやすく読ませる記事を書くべきだ。
理科離れを嘆くなら、政府は本腰を入れてサイエンス関係のライターを育成した方がいい
と思う。


だが、この新書の著者も書いていたが、ライターはほとんど儲からないらしい。
インターネットが出現してからは、本来インタビューを受ける人が、自分のサイトで言い
たいことを書けるようになったし、雑誌の売り上げは下がるしで、とても人に勧められる
商売ではなさそうだ。


ていうか、この人のことを知りたい! と思うような人が、どんどん少なくなってきてい
るから、ますますインタビュー業界は寒いことになっているのかもしれないな。


本文と写真はまったく関係ありません

( ´ Д `)<梨華ちゃんにとってアゴとは何だぽ? 
( ^▽^)<命の次に大事なものよ!