田中裕子の上手さが際立ったドラマだった。
大泉洋もよかったけれど、これは田中裕子の物語だと思う。
確かに泣けるストーリーだが、正直どっかで見たことのあるような話で、1950年代の大映や
松竹映画の「母もの」のようなテイストがある。
原作を読んでいないので、もっと複雑な背景なり心理描写があるかもしれないが、大まかな
骨格は、母の無償の愛に涙する子、である。
ひとむかし前だったら、大泉洋のような男は、女に「マザコン!」と罵られていたはずだった。
それは、ドラマ「ずっとあなたが好きだった」(1992年制作)の登場人物(冬彦さん)によって
広がったものだが、あれほど病的なイメージは今のところないみたいだ。
そもそも、親孝行かマザコンかの線引きは、息子ではなく女の子が決めるもので、ドラマで
広末涼子が演じていたように、一緒に台所に立って料理をするような仲のよさであれば問題
にはならないのかもしれない。
だから、最後に東京タワーで鼻メガネをかけた広末涼子を見ると、夢のようなハッピーエンド
なので、見ていてホッとするのである。
私は、現実にリリー・フランキーとつきあっていた加藤紀子はどうだったんだろうか、などと邪推
してしまうのだけれど。
それにしても、塚地は突然のオファーで大慌てだったはずだ。
あれだけの俳優のスケジュールを押さえて、もう一度撮影するのも大変だったはずだが、一番やり
にくかったのは塚地ではなかったろうか。可哀想に。
ところで、古くは五木寛之の「青春の門」で描かれる福岡県の炭鉱町の男は、デリカシーがなくて
乱暴者でおっちょこちょいだけど実はいい人、というイメージなのだが、実際に身近にいると迷惑だ
ろうなぁ、と思う。
昔のマンガで、鹿児島県出身の男が上京するが、夢のために大学を中退して故郷に戻ってくる
「ぼっけもん」という作品があった。
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かも。
余談だが、私は上京してすぐ東京タワーに登ったことがある。最上階まで行ったはずだが、あまり記憶に
ない。景色も曇っていたのか、遠くがぼんやり霞んでいたような気がする。
実際に東京に住んでみると、芝公園のあたりは用事がないから近寄ることもなかった。
田舎に帰るときに行っておけばよかったかな。