Molybdenum

モリブデンというのは希少金属のひとつで、日本では主にステンレス鋼の添加物として使用
されている。
鉄にモリブデンを加えることによって、耐熱・耐圧性能が向上するのだそうだ。


なんでこんなことを知っているかというと、この希少金属レアメタル)の市況をレポート
していたことがあるからだ。
しかし、自分で値段を調べていても、何のことやらサッパリ分からなかった。
勉強不足である。


基本的には、安く買って高く売ることをしているのだと思うが、どういう根拠でその
値段になるのか、当たり前だが誰も説明してくれない。
こんなことを疑問に思うこと自体、私が商売に向いていないことの証明だろう。


例えば、どこかの石油や天然ガスのパイプラインを日本の製鉄会社が受注したとする。
パイプラインには特殊鋼が使われるから、モリブデンの輸入量も上がる。
もし、モリブデンの生産状況がタイトならば、必ず値上がりするので、安いうちに
買い占めておいて、高値で売り抜けようと思う人がいるのは当然だろう。


私はそれを傍からぼーっと眺めているだけだった。
正直、どうでもいいと思っていた。
業界新聞記者として失格である。


役所や企業から資料をもらってきて、それを表にして記事をつけて一丁あがり。
縦のものを横にするような仕事で給料をもらっていた。


神保町に昼飯を食いに行き、チケットショップをのぞくと、当時は必ず試写会のハガキが
売っていた。
誰かが応募して当たると、ここへ売りに来るのだ。一枚300円から500円だった。


そこで試写会のハガキを買って、会社の帰りに見に行くのが楽しみで、年間100本ぐらいは
見ていた。東京のたいていの試写会場は行ったと思う。まだビックカメラが入る前の、
有楽町そごうのよみうりホールが多かったな。


こうして、仕事の技術を身につける時期にサボッていたので、全く役に立たない
人間になってしまった。
人生が終わってしまった分かったことは、エンドマークが出た後も、延々と意味のない
画面が続くということだ。


誰も出てこないし、物語もない。
ただ同じような場面が繰り返されるだけである。


私はまだその画面をなんとなく見ているのだが、そろそろ耐えられなくなってきた。
しかし、この映画館の出口が分からない。
どうやったらフィルムを止められるのだろうか。


本文と写真はまったく関係ありません

IKEDA BILL. って。BILL は William の愛称ですけど何か?