- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 新書
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東日本大震災で寸断されたJR東日本の線路で、現在までに復旧して
いる路線は少ない、と著者は述べている。
実際、JR東日本のサイトで確認してみたが、この本の執筆時以降に
運行を再開する予定の路線は3ヶ所だった。
全線が復旧するのはいつになることやら。
先日、JR西日本の福知山線脱線事故で、経営者に責任はない、という
判決が出た。
私は、大事故の責任をすべて経営者に押し付けることはできないと
思うのだが、じゃあ、その組織を動かしてきたのは誰か、と問われ
れば、やはり経営者ではないかとも思う。
難しい裁判だった。
本書では、JR東日本の企業体質は東京電力と似ている、と書いてある。
私は、JR東海やJR西日本、あるいは九州電力だって同じような企業体
質だろうと思っている。
べつに日本の大企業だけがそうではなく、たいていの組織は、巨大に
なれば責任の所在が曖昧にならざるを得ないのだろう。
大きな組織の中で正しいことをやろうとしたら、たぶん責任をとらさ
れて出世できなくなるのだろう。
(オリンパスの英国人元社長は例外的な存在ではあるまいか)
となると、組織をダウンサイジングする選択肢があると思うが、大競
争時代にそんなバカなことに耳を傾ける人はいない。
高度資本主義は金儲けのうまいオッサンだけが権力を握る。
そして、金儲けのうまいオッサンというのは、たいてい倫理観が欠如
しているのである。