- 作者: 吉田秋生
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/04/26
- メディア: コミック
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吉田秋生はこういう短篇連作も上手い。
鎌倉の街を知っていると、より楽しめる作品だ。
ちょっと気になったのは、絵のくだけ方である。
昔からギャグ調のときはキャラクターの頭身が下がって、可愛い感じの絵になっており、
シリアスな展開の中にもホッとする味があった。
今回もそういうメリハリが効いているが、あんなに歯をぐわっと見せるような顔はなか
ったような気がする。
文章で書いても伝えづらいけれど、ガハハと笑っているような顔が多用されていて、た
ぶん作者が気に入った表現なんだろう。
一話ごとにちゃんと伏線が張ってあって、心憎いほど丁寧に構成されているし、これま
での吉田作品のファンだったらきっと好きになると思う。
わざわざ私が言うことでもないが。
吉田秋生にとって、男というのは美青年かガキかオッサンかのどれかに分類されるよう
だが、そこに当てはまらないキャラクターも当然いるわけで、今回の作品だと姉妹たち
の死んでしまった父親がそれに当たるのではなかろうか。
おそらく、作者にとって無意識にあたる部分が、父親と重なっているのだと思う。
他の作品ではどうなのか、誰か研究してみたら面白いかも。