視聴率の正しい使い方

視聴率の正しい使い方 (朝日新書 42)

視聴率の正しい使い方 (朝日新書 42)

現在のテレビ視聴率の問題点と課題をコンパクトにまとめていると思う。


実はほとんどの人は視聴率なんて関係ないのだが、どういうわけかテレビ番組の評価の基準と
して手軽に扱われている。
本書は、その数値にまつわる誤解を解くことから始めている。

1.ある週のAという番組の視聴率は12%で、前回に比べると、2%増えた。だからAという番組の
 人気は上がっている。


2.同じ週の裏番組Bの視聴率は10%だった。Aが12%なので、Aの視聴率の方が2%(ポイント)
 高い。つまりAの方が人気がある。


3.視聴率は1%につき100万人が見た計算になる。したがってAは1200万人に見られたことになる。


4.視聴率調査はごく一部の世帯(または人)を調べているだけなのだから、全世帯(またはすべて
 の人)の視聴傾向がわかるはずはない。


5.視聴率は視聴世帯(または人)の「数」はわかっても、「なぜその番組を見たのか」など、視聴
 の「質」についてはわからないから万能の尺度ではない。


 これらはすべて誤った指摘である。


1.について言えば、標本誤差というものがあるのだそうだ。
標本誤差=±2√世帯視聴率(100−世帯視聴率)/標本数
で求められるのだそうだが、その誤差は以下の通り。

世帯視聴率 標本数600 標本数200
5%・95% ±1.8% ±3.1%
10%・90% ±2.4% ±4.2%
20%・80% ±3.3% ±5.7%
30%・70% ±3.7% ±6.5%
40%・60% ±4.0% ±6.9%
50% ±4.1% ±7.1%


つまり、標本数が多いほど誤差は少なくなるが、全世帯を調査しない限り誤差のない数字は
出ないわけで、そうするには時間やコストがかかりすぎる。
つまり、視聴率の数%の上下は、誤差に吸収される場合がある、ということだ。


また、視聴率1%が100万人というのは、NHKが年に数回調査している「全国個人視聴率調査」の
数字をもとにしているときに言えることで、通常ビデオリサーチ社が行っている世帯視聴率では
視聴人数を推定することはできないとのこと。


さらに、現在ビデオリサーチ社が基本的に発表しているのは、ある世帯のリアルタイムで視聴
している、地上波のアナログ番組の視聴率だけであり、それ以外は無視されている。
衛星放送や地デジ放送やCS、あるいは録画したものやDVDの再生は「見た」ことにされない。
同様にパソコンや携帯で見るワンセグ放送もカウントされないのだ。


そんな荒い数字で商売できるなんて、さすが一社独占かつ電通の子会社ならではだと思うが、
地上波デジタル放送に切り替わったとき、果たしてどうするのだろうか。
スポンサーにとっては、果たして広告の効果はあるのかを知りたいだろうし、テレビ局にと
っては、視聴者が何を面白いと思っているかを知りたいだろう。


それについては、視聴率を測定する装置の性能を上げるしかない。
現在はピープルメーターという機械を使って、いちいち誰が見たのかをボタンで押して記録
しなければならないそうだ。


米国では、腕時計タイプのものを身につけてもらい、自動的にどんな番組を見ていたのか調
査できるデバイスが開発されているとか。
日本では個人情報の関係で導入は難しいらしいが‥‥


そこで私は考えたですよ。
ひとつは携帯電話に視聴記録装置をつけて全国にばら撒き、サンプル数を大幅に増やす。
ユーザーは毎日決まった時刻にデータを送信しなければならないが、その回数や精度によっ
て基本通話料を値下げすればインセンティヴになろう。
これで、大量のデータがスムーズに集計されるはずだ。


もうひとつは、地デジチューナーに視聴率測定デバイスを組み込み、タダで配る。
もちろん、そういう装置が入ってますよ、と説明しなければならないが、いま地デジのテレ
ビを買い控えている人にとってはメリットがあるだろう。
特に携帯電話を使わない老人世帯には効果があるはずだ。


この二つで、これまで取りこぼしていた視聴者層の傾向をゲットできるのではないかと思う。
もっとも、誰がそのコストを払うのか、という問題はあるけど。


しかし、考えてみれば、私はテレビCMで何かを買うことはあまりない。
クルマや化粧品や薬は対象外だし、サラ金から金も借りない。
買ってみようかな、と思うのはお菓子や飲み物ぐらいだろうか。


むしろ、テレビCMの商品そのものではなく、そのCMに出演している可愛い女の子に興味があ
るな。だから、面白いCMやきれいなCMは見たいけれど、それがダイレクトに購買につながる
わけではない、と思う。
(いや、モー娘。Berryz工房が出演したCMの商品なら、がっついて買うかも(^^;)


本文と写真はまったく関係ありません

( ・e・)<こんな時代もあったのだ
川 ’−’)<やよー