月曜日のレイトショーで観客は30人ぐらい? もう少し多かったかもしれない。
野木亜紀子のこれまでのドラマを見てなくても楽しめるが、見ていたらもっと
楽しめるエンタメ作品だった。
以下、ネタバレあり。
私は25年ぐらい前に、ヤマト運輸の有明物流センターで2週間ぐらいアルバイトを
したことがある。年末のお歳暮のシーズンに、割れ物注意の荷物のピッキングを
したのだ。
チャップリンの「モダンタイムス」もかくやといわんばかりのベルトコンベアー
作業で、ゴム引きの軍手がすぐに使い物にならなくなる物量だった。
なので、「ラストマイル」で描かれた物流センターはかなり身近に感じられたし、
隔世の感もあった。最近はゲートをくぐらないと入場できないのですね。
満島ひかりは、人命より会社の利益を重視する新任のセンター長を見事に演じていた。
終盤にようやく人の心を取り戻していたが、私はこういう人間が大嫌いなので、
いっそ爆発すればいいのに、と思っていた。
もっとも、本当にこの映画が批判しているのは、彼女にこのような働き方をさせる
米国型資本主義なのだろう。
少数のエリートが奴隷を働かせて暴利をむさぼる。
その歪が事件を重苦しくさせているのだ。
映画では下請けの運送業者がストライキを起こして運賃の値上げを勝ち取って
いた。実際にはそんなことはできない。映画を見ていて少し白けてしまった。
尺の都合もあっただろうけど、そのあたりのリアリティがあればと思った。
エンタメ作品なので、見終わって、あー面白かった、と感じたらそれで
成功である。
これで世の中が動くことはないだろうけど、ネットで商品をポチるとき、
物流に少しでも想像力を働かせることができる人が増えたらいいな、と
思う。