話をしてくれた。オチまで喋っており、それがショッキングだった
ので今になっても憶えていたのだが、実際に映画を見たのは今回が
初めてだった。実に40年ぐらい経ってのことである。
NHKのBSプレミアムで放送していたのを録画してあって、数年
寝かせていたのだが、たまたま見てみようと思ったのだ。
本作の設定が2022年のニューヨーク市の話で、環境破壊の影響で
異常な猛暑が続き、人口爆発で4000万人にも膨れ上がっている。
貧富の差もすごくて、大金持ちはエアコンと美女付きのマンションに
住んでいるが、ほとんどの貧乏人はスラム街や教会で雑魚寝している。
知的な専門家は迫害されており、電力は不安定で生鮮食品は高騰
している。貧困層はソイレント・グリーンと呼ばれる板みたいな
合成食品の配給でなんとか生き延びている。
おそらく原作の小説がわりとB級っぽいので、映画もそれなりの
出来だ。むしろ1970年の米国の世相が反映されている。
主人公が刑事で、ということは行政機能はまだ生きているし、
安楽死の施設だけはやたらと豪華である。市長も選挙で選ばれて
いるので、かろうじて民主主義社会ではあるようだ。
この悲観的な未来がどのくらい当たっているかというと、
温暖化や富の偏在はそのとおりになっている。
しかし人口爆発は起きず、ニューヨーク市の人口は841万人
である。
また、インターネットなどのIT技術の進歩は想像もして
いなかったようで、作者の限界を感じる。
食糧難になるという予測も外れている。
遺体を食料にする、という発想もグロテスクなものと
されているけれど、「シドニアの騎士」では遺体を
有機転換炉に入れて再利用することが普通に受け入れ
られており、意識の変化を感じる。
なんだか長々と書いてしまったが、ディストピア映画と
して話のネタに見てみるのもよろしかろう。