*[本]天鏡のアルデラミン

2016年の夏アニメで初めて見て、特に面白いわけではなかったが
なんとなく引っかかっていた。
今年の正月にブックオフである程度集めて読み始めてみると、
アニメ化されたものは序盤も序盤の話にすぎないと分かった。
2018年に完結しているが、新刊書は書店では手に入らず、ネットで
ゲットできた。ありがたい。


これは「銀河英雄伝説」をファンタジーで希釈したような感じの
ライトノベルである。
といっても流行り物の作風ではなく、どちらかといえば児童文学
寄りの作品で、物語の骨格は意外としっかりしている印象だ。


ライトノベルは売れないと次が出ないはずだから、14巻で完結
したのは一定の読者がいたからだろう。アニメ化もされているし。
(ちなみに「このライトノベルがすごい!」では2014年に2位、
2015年が10位、2016年が3位だった)


ただ、イラストレーターに恵まれなかったのが痛い。
アニメ化ではずいぶん修正されていたが、キャラクターデザインが
良ければもっと評価されたのではないか。


面白いのは、作者がキャラクターを掘り下げていくところだ。
7巻で重要な人物が死ぬのだが、それ以降で単純な善玉・悪玉に
見えた人物の膨らませ方を工夫しているというか。
少年マンガでよくある、実は悲しい過去があったからこういう人に
なってしまった的なやつである。
編集者はよくこの展開を許したと思うが、ここからすごく上手に
なっていると思う。


といってもライトノベルなので、それなりに緩い作品ではある。
そこに目をつぶるとしても、面白い作品だった。
最後までアニメ化してほしかったが、惜しいことをした。