*[映画]劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン

古き良き日本映画の伝統を受け継いでいるのは、実は京アニではなかろうか。
難病の少年とか、雨の中で号泣する女性とか、かつてモノクロの邦画で定番
だったものがストレートに描かれている。
もし実写だったら古臭い手法に見えてしまうかもしれないが、美しいアニメ
だとそれが分からなくなる。
1950年代の邦画(特に松竹)に詳しい人なら、いくつも類似点を指摘できる
のではなかろうか。


初見の人にも分かるように、序盤でTVシリーズのおさらいを挿入しつつ
泣けるエピソードを挟んでクライマックスに持っていく、安定のシナリオと
演出だったと思う。
しかも、TVシリーズ屈指の泣けるエピソードである亡き母親からの手紙の
話を折り込み、時系列を巧みに操る脚本は神業と言えよう。


エンドロールで、犠牲なったスタッフの名前を見ると、これからの京アニ
心配になってくるが、再び傑作を世に送り出せることを信じて待ちたい。