*[本]街道をゆく3 陸奥のみち、肥薩のみち

街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

街道をゆく、第3巻は青森県八戸周辺、熊本県人吉から鹿児島周辺、そして
大阪の河内周辺を歩いている。


風景は知識がないと読み解けない。
私がどこを訪れても、ただの山奥の田舎道としか思えないが、実は昔ここで
こういうことがあった、ということを知れば、見えるものも違ってくる。


何も知らずに体験することも若いうちは大切だが、歳をとってくると
そういう刺激がしんどくなってくるので、司馬遼太郎的なウンチクが
ありがたい。


人吉で相良氏という領主の話が出たついでに、こんなことを語っている。

 要するに日本歴史というものは国内統一する場合に英雄が出る。源頼朝とか
織田信長、前期の豊臣秀吉、そして徳川家康、あるいは倒幕革命政略における
西郷隆盛といったような、他の国の歴史に類型のすくない人物が出るが、この
民族の歴史にまれにあらわれる海外への膨張気運のおこる時期には、その時期の
好戦的指導者はかならず凡庸なお調子者にすぎなかったという実にふしぎな法則を
もっている。戦後の日本の社会科教科書はヒトラームッソリーニを呪い嘲けるが、
しかし、ヒトラームッソリーニすら持たずにそれとそっくり似たまねをした
昭和初期の日本というもののふしぎさを解明した教科書があるだろうか。
(P156)

1972年の文章だが、今でも通じると思う。