映画館で上映中にスマホを見る若者がいて、2時間ずっと映画を

見ることに耐えられない、という意見があった。

若者の集中力が低下しているのだろうか。

 

たしかにネット動画は長くても20分ぐらいだそうだし、スマホ

映画を見るときも途中で止めたりしているのだろう。

映画や演劇やコンサートの長さがだいたい90分から120分ぐらいに

なっているのは、人類の普遍的な集中力の平均だと思うのだが、

それは近代になってからの数値なのかもしれない。

 

寄席とか歌舞伎は朝から晩までやっているけれども、観客は

全部を集中して見ているわけではなく、途中で弁当を食べたり

野次を飛ばしたりしていたから、昔はもっと集中力が短かった

かもしれない。

 

 

音楽では、クラシック音楽交響曲が1時間弱ぐらいだし、

ポピュラー音楽でもコンセプトアルバムが作られたのは1960年代

からでその歴史は50年ぐらいしかない。

しかも現在では好きな曲を細切れに聴くのが主流になっているから、

コンセプトアルバムをがっつり聴く習慣は若者にはないだろう。

アルバムの中の「捨て曲」という意味も分からないと思う。

 

 

そうなると、エンターテインメント業界も作品の長さを短くせざるを

得なくなるのかもしれない。

ロバート・デニーロ主演の5時間もある映画「1900年」を見る人は

いなくなるだろうし、そもそも上映する映画館もないだろう。