- 作者: 加藤周一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/04/01
- メディア: 文庫
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はたして若いときにちゃんと読めたかどうかは分からない。
ともかく、日本の文学史を古代から近代まで通して把握できたのは
ありがたいことだ。こうしたマッピングをするには、どれほどの
読書量が必要なのかと思うとめまいがする。
あとがきでも書いているとおり、本書は
日本の土着世界観が外部からの思想的挑戦に対して各時代に反応して
きた反応の系列を、それぞれの時代の社会的条件のもとで、その反応の
一形式としての文学を通じて確かめようとした
ものである。
儒教や仏教、あるいはキリスト教を補助線として、日本人がどのように
それを受け入れたか、変質させたか、あるいは全く受け入れなかった
のかを、残された文献から読み解こうとしている。
その視点にブレはなく、理系的な分析力があった。
著者は医学部卒でもあるからか、医者出身の文学者について語るときは
ちょっとノリがよくなっていたような気がした。
↓
こうしたハイカルチャーの通史を知っておくと、現代のサブカルチャーを
語るときにも便利なのではなかろうか、と思う。
たぶん大衆が求めるものは昔からほとんど変化していないのだろう。
↓
私が読んだのは2009年の第8刷の文庫本なのだが、下巻の341ページ
後ろから7行目「彼がら」は「彼らが」の誤植ではなかろうか。
最新版では直っていると思うのだが念のため。