「憮然とする」という言葉の意味を問うたところ、6割弱の人が
腹を立てている様子、と答えたという。私もその一人だ。
本来の、失望してぼんやりする様子、という意味ではもはや
流通していないようである。
おそらく「呆然・茫然」という言葉が、失望してぼんやりする
様子として定着しているのと、憮然の「ぶ」という音が、ぶす
くれている、みたいな怒ったイメージを喚起するのではないか。
憮然ではなく、憤然という言葉を使えば、腹を立てている様子、
というイメージと直結するような気がする。
また、「砂を噛むような」という表現も、本来の無味乾燥な
つまらない様子、という意味ではなく、悔しくてたまらない
様子、という意味で憶えている人が多いらしい。
なんかマンガとかドラマで、喧嘩に負けた人が地面に転がされて
口の中に砂が入ったのをペッと吐き捨てる、みたいなイメージが
あるのではなかろうか。
私も歌舞伎町でぼったくり風俗の被害に遭ったとき、一緒に来て
いた友達に「砂を噛んだような思いだ」と半泣きになりながら
言ったことがある。今思うと誤用だった。