*[本]大坂堂島米市場

本書は江戸時代中期から後期にかけて、大坂で取引された米市場に
関する検証である。
現実には存在しないコメを指標にして先物取引をする、という
先進的なことを始め、江戸幕府が米価を安定させるために大坂の
米市場にどのように介入したかを著している。


とはいえ、私には先物取引や幕府の市場介入の話はちょっと
難しかったので、ぼんやりとしか理解できなかった。


むしろ、最後に書いてあった手旗信号による情報伝達の話が
面白かった。大坂から広島までコメの値段が伝わるのに40分
しかかからなかった、というのは電信のない時代では驚異的
だと思う。



しかし、これほど先進的な取引をしていても、そもそもコメ本位制
というのは正しいのか? という疑問は誰も考えなかったのだろうか。


そして、コメを主食としている他のアジアの国では、コメ本位制という
のは成立していたのか、していなかったのかも知りたい。
特に中国では、どういう経済市場があったのか、もしなかったとしたら
なぜなのか、というのも知りたいところである。
(たしか塩に関してそういうものがあったと読んだことがあるのだが)