愛媛県が梅雨明けしたというタイミングで映画「天気の子」を見に行った。
レイトショーで100人前後ぐらいだったろうか。
(以下ネタバレあります)
「言の葉の庭」で新宿御苑に降る雨がとても美しく描かれていて、この作品の
雨もすごかった。もはや雨の描写が主役と言ってもいいかもしれない。
セカイ系の話には、一人の女の子を犠牲にして世界を救う、みたいな物語が
あるけれど、「天気の子」はその逆である。
人柱になった少女を取り戻したら、首都圏の三分の一が水没してしまった。
その三年後に離島から再び上京した主人公はヒロインと再会して映画は終わる。
三年間にどんな混乱があったかは敢えて語られていないが、政治的にも経済的にも
ひどいことになっていたはずだ。
主人公とヒロインが助かってハッピー♪、みたいな安易な結論ではなく、
重い結果を観客に受け止めさせるあたりが新海誠監督らしいと思った。
なぜ、主人公の家出の原因をはっきり語らないのかが謎なのだが、
普通に高校を卒業しているし、単なる気まぐれだったのだろうか?
↓
主人公が偶然拾った拳銃は、物語を進めるための道具である。
もし発砲していなければ、彼は警察に追われることはなかった。
単なる想像だが、拳銃が出てこないシナリオもあったのではなかろうか。
そうすると、主人公とヒロインの逃避行の区切りがつかなくなる。
見終わってからそう思うことは、やはりストーリーの中で
拳銃だけが妙に異物感があったということではなかろうか。
一度は廃ビルに捨てておいて、再び廃ビルで手にするのはどうか、
という話し合いがあったと思うが、強引に進めたのだろう。
お金も知恵も力もない少年が頼れるものは拳銃しかなかった、
と考えればいいのかもしれない。
いや、それでも拳銃なしのストーリーも見てみたかったな、と
思ってしまった。