BS日テレで週3回放送されていたアニメ「NANA」全47話が

終わった。えっ、どういうこと? という終わり方だったが、

調べると原作のマンガは作者の病気で中断しているらしい。

 

というわけで、原作未読でアニメしか見ていない。

でもオッサンなので言わせてほしい。これ、クソビッチの

話やんけ。

 

実写映画になったとき、宮崎あおいが降板した理由も分かった。

そりゃあ納得いかない役を演じることはできないだろう。

 

 

では、なぜこのマンガが大ヒットしたのか。

主人公に共感する女性が多かったから、としか言いようがない。

俯瞰で見ると小松ナナの行動には一貫性がないというか貞操

ないのだが、個別の恋愛はそれぞれ真剣で、そこに自分を見た

若い女性がいたのではないか、とオッサンは想像する。

 

もう一人の主人公の大崎ナナは実は生真面目な常識人だが、

天涯孤独な生い立ちが徐々に本人を蝕んでいく。

このあたりは普通の読者にとっては縁のない話だが、女性が

憧れる女性の典型なのかもしれない。

 

ふと連想したのは、NHKの朝ドラ「半分、青い。」だ。

主人公のバカさ加減がとても似ている。

このドラマは賛否両論あったが、おそらく「NANA」を支持

した層とかぶっていると思う。

 

 

アニメはいしづかあつこが監督助手をやっていて、彼女が

演出をしている回は明らかに面白かった。

2000年ぐらいの話なので、まだ古い携帯で会話しているのが

懐かしい。あと、あんなにバカスカたばこを吸う人が多い

アニメも珍しいと思う。

 

まだCDが売れている時代の物語だというのも、今の若者が

見たら違和感があるかもしれない。

10年間で音楽の聴き方が激変したことが分かる。

 

 

三浦しをんの「桃色トワイライト」というエッセイに以下のような

会話がある

「いま、『○○』という、すごく売れている漫画があるやん」

(『○○』には、各自で思い当たる作品を適当にお入れください)

「あるね」

「私は、あの作品の良さがどーしてもわからんのよ」

「わからんね。だけど、無視できぬほど売れているから、読んでしまうね。読んで毎回、『なんでこれがもてはやされるんだー!』と怒ってるけど」

「しをんはあれを、どういう作品だと位置づけてる?」

「『エセっぽいオシャレさに紛らわせてはいるけれど、実は貧乏くさい上京物語』だと思う」

「うん、私も基本的に同感。売れる作品に必要な要素が、そこにはすべて詰まっとるんよ。端的に言うと、『金に糸目はつけるな。しかし使うな』という精神だと思うんよ」

(p 275-276)

 私はこれを「NANA」だと思ったのだが、いかがだろうか。

ちなみにこの会話の相手は「死国のYちゃん」である。鋭い人だ。

 

 

マンガを連載していた時代と現在で、音楽の環境が全く違ってしまったことも、

作者が連載をなかなか再開できない理由になっているのではないか。

同時代の物語は同時代に描き切ってしまうのが幸せなのだと思う。