年末からBS11で集中放送されていたアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」
全25話を見終わった。原作は未読。
毀誉褒貶があるアニメらしいが、私も判断がつきかねるところがある。
少なくとも大絶賛はできない。つまらないわけではないのだが。
というのも、あまり頭の良くない少年を主人公にしたせいで、世界観が
本人にも視聴者にもよく分からないまま物語が進むから、見ていてもど
かしい部分が多いのだ。
例えば「魔女教」とは何なのか、アニメを見終わってもなんだかよく
分からない。ロズワールとかベアトリスとかパックとか、聞こうと思えば
いくらでも聞ける相手がいるのに、まったく取材しようとしないのが理解
できない。
スバルくんは情報収集する前にいろいろやらかして死ぬのである。
それは、最初からチート能力を持っている他の異世界ものに対するアンチ
テーゼなのだろう。ニートの少年がリアルに異世界に放り込まれたら、
このくらいが限界だよね、という設定である。
ただ、そのせいでストーリーの流れが何度も滞っているのも事実である。
しかも最終的には白鯨退治以降のように、自分が未来のことを知っている
というチート能力と、主人公の知恵と勇気でピンチをしのいでいるのだ。
物語としても見ていて面白かったのはここである。
もうひとつ、主人公がエミリアやレムに対して醜く情けない姿をさらす
部分も、目を背けたくなった。
人間のそういう部分を露骨に出すのは純文学的ではあるが、それを受け
とめる女性はまったくリアリティがない。
特にレムは聖母のようにすべてを受け入れる都合の良いキャラクターに
なっている。ヒロインが誰かもブレたし、ラノベの悪いところが凝縮された
ような場面だった。
おそらく作者は書きたいエピソードがたくさんあって、それを全部出して
いきたいのだろう。
しかし、そのエピソードが枝葉のように重なって、「嫉妬の魔女とは何か?」
という大きなテーマが時として見えなくなっている。
明確なストーリーラインを意識して、他のエピソードは刈り込むことも
必要だろう。
アニメ2期はあるのかどうか分からないけれど、25話かけて語られた謎が
きれいに収束させてくれることを望む。