「昔はよかった」病

「昔はよかった」病 (新潮新書)

「昔はよかった」病 (新潮新書)

根拠の無い精神論を、資料をもとに間違いだと論破する爽快な一冊である。


著者は老人に恨みがあるのではないかと思われるほど筆誅が鋭いのだが、
もしやなかなか教授になれない、大学にお勤めの人なのだろうか。


なぜ多くの人は年をとると過去を美化してしまうのか。
最近だと滋賀県選出の国会議員が、まだ30代なのに根拠もなく過去を美化
していたけれど、何を間違えるとああなってしまうのだろう。


その点については、著者は本書のタイトルのとおり、病気であるとしている。
では、なぜそんな病気に罹患してしまうのか。
そのあたりを詳しく話してほしかったでござる。



本書の第9章で、「ハイテンション」という言葉が、日本では「元気がいい」と
誤用されていることについて述べている。


1950年から60年ごろは正しい意味で使われていたのに、一時使われなくなって、
90年前後から誤用されて復活しているようだ。


私が現在のような誤用の意味で定着したなと思っているのは、「ダウンタウン
ガキの使いやあらへんで」のハイテンション企画である。


が、Wikipedia によると、ココリコ遠藤が最初にハイテンション芸を披露したのは
1998年5月17日オンエアだそうだ。


ハイテンションは90年前後から誤用されているので、私の説は間違いだった。


ただ、雑誌よりもテレビの影響力の方が大きいので、普通ではないほど感情が
高ぶっている、という意味でハイテンションを使うとすれば、やはりダウン
タウンの番組の力も寄与したのではないか、と思う。


あと、藤井隆のギャグも90年代半ばからブレイクしたので、その影響もあった
のではないかと。