- 作者: 伊東ひとみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/16
- メディア: 新書
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とかDQNネームとか呼んでいる。
ネット上の冗談なのか本当に存在するのか、という話から始まり、最終的には日本人の
漢籍の教養の有無にまでつながっていく。
学者ではない人が書いたので、やや甘いところもあるが、面白かった。
(特に章末コラムで、日本以外でも変な名前をつける国があるのは驚いた)
よく、外国人のような名前なら森鴎外が子供につけている、という話がでてくるが、
森於菟という名前は、実は漢籍の「春秋左氏伝」の記述からとっている、という。
できれば他の子供の原典も調べてほしかったが、さすが鴎外と思った。
あと、1948年1月1日から1951年5月25日の間は、名前に使える漢字が最も制限されて
いた時期だそうで、「稔」も「弘」使えなかったのだそうだ。
これってミステリ小説のネタになりそうな気がする。
最後に、p38 の5行目と6行目の両方に「奏(かなで)」があるのは、おそらく誤植では
ないでしょうか。
↓
私にとって名前で読み方を覚えられないのは、陸軍軍人の山下奉文(ともゆき)
である。普通「やすふみ」と読むと思うのだが、どういう理由で「ともゆき」なのか。
阿南惟幾(これちか)も読みにくいが、これは何となく記憶できた。
あと、外務大臣だった重光葵(まもる)も間違えそうになる。
戦時中の人の名前は、あまり試験問題にならないから、その方面が好きな人でないと
読めない人は多いのではなかろうか。
↓
そうそう、本書を読んでいたら p59 に「キラキラネームの“方程式”」という言葉が
出てきた。名づけ方の法則、という意味で使われている。
よく「恋愛の方程式」とか「勝利の方程式」という言い方をする人がいる。
本来は数学の用語で、厳密には、=で結ばれた式、という意味である。
たぶん「○○の方程式」を使っている人は“確実に成功する秘訣”みたいなことを
言いたいのだろう。
それを言うなら、方程式ではなく、せめて「○○の公式」にすべきだと思う。
が、公式だと、誰でも知っていて手軽に使える、というニュアンスがあって、秘訣
ではなくなる。なんというか、公式は学校で先生が教えるものであって、言葉として
安易なイメージがあるのではないか。
一方、方程式になると、ちょっと数学的に踏み込んだ感じがするし、ある変数を
当てはめたら確実に答が出る、という体験も手伝って“絶対にうまくいく方法”
みたいな印象を持ったのではなかろうか。
そして、こういう言い方をするのは、ほとんど関西圏の人である。
である、と何の根拠もなく言ってしまったが、関東地方の人が使っているのは
あまり聞かない。
よろしかったら、周りの人に訊いてみたらどうだろうか。