境界の彼方 過去篇・未来篇

松山では1週間の限定上映ということなので、急いで見に行った。
過去篇と未来篇を連続して見られるのはありがたい。料金はそれぞれの分を
払うのだが。


過去篇はレギュラー放送を95分にまとめたもので、伊波桜が途中から何の説明もなく
登場するのを除けば、実にすっきりと編集されていた。
学園生活とギャグの部分を削ぎ落としたら、わりと陰惨な話である。


学園生活とギャグといえば、冒頭にテレビアニメの6話でやった歌とダンスを持って
きており、京アニがアイドルをやったらこのぐらいできますよ、というクオリティだった。
アップでごまかさず、全身をじっくり映しており、すごかった。



続く未来篇は完全新作で、過去篇で大団円かと思われた栗山未来が戻ってきた
シーンが、実は記憶を失っていた、という話で始まる。


面白かったのを認めた上で言うのだが、正直、未来篇は蛇足のような気がする。
原因は藤真弥勒という悪役である。


過去篇から何がしたいのか分からず、どういう立場の人かはアニメを見ていた
だけでは伝わらなかった。
未来篇でも、決着はついたものの、カタルシスは全くないままだったし、
ケレン味がありすぎた。


彼の目から他の人に感染した妖夢はどうなったのか触れられないまま終わった
のも無責任ではなかろうか。


それと、神原秋人の母親も都合よく登場してはどこかへ消えてしまう。
何者かも明かされないままモヤモヤが残る。


そういう部分は原作小説を読んでください、ということなのだろうか。



境界の彼方が暴走するところは、原発のメタファーかと深読みすれば、ある種の
人にとっては興味深い作品になるかもしれない。
製作者にそんな意図はないのだろうけど。


京アニは自社レーベルのラノベではなく、別の小説を原作にした方が面白いアニメを
作れると思う。


前にも書いたが、実写映画で失敗した万城目学の「偉大なるしゅららぼん」を
京アニ魔改造して連続アニメにしたら絶対に面白いはずである。
あるいは「プリンセストヨトミ」でもいい。


京アニのプロデューサーは、菓子折りを持って万城目学のところに行くべきだ。