Boaz2015-05-11

遅ればせながら、自民党が出した「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」という
マンガを読んでみた。(pdfファイル


ひいおじいさん、おじいさん、父、母、息子の5人が登場人物で、憲法がどういう
もので、日本国憲法がどのように成立し、自民党はどうしたいのか、というのを
マンガで描いている。


不思議なことに、このマンガにはひいおばあさんもおばあさんも出てこない。
女性はちょっと頭の弱い母親だけである。
国は男が守るもの、という自民党のマッチョな感覚が出ている。


おそらく、女性は常に戦争反対と言ってきたし、憲法改正には賛成しないから
出さないで、という指示があったのではないか。
シナリオを書いた広告代理店の分析は正しいかもしれないが、マンガの
ノウハウはないと見た。


外国が憲法改正を何度もしている、ともあるが、憲法のどの部分を改正したのかは
全く触れていない。
日本が憲法を改正しようと、連合国が国連の常任理事国である限り、敗戦国である
ことには変わりがない。
などのツッコミは野暮というものだろう。



私が自民党の広報なら、憲法改正のマンガは弘兼憲史に依頼する。
加治隆介の議」という作品があるので、同じ主人公を使ってもいいだろう。


そして、ユニクロワタミゼンショーグループに出資してもらい、各店舗で
マンガを無料配布してもらう。


なんだったら、加治隆介がユニクロの服を着て、ワタミで仲間の議員と話をし、
すき家で牛丼を食べることを盛り込んでもいい。


自民党憲法改正を支持する人は、そういう層の人たちだから、こうかはばつぐんだ。



そもそも、このマンガを描いた人は、憲法改正についてどう思っているのか、
全く分からない。PRマンガなのだから、作者の主張は入れてはいけないのは
分かるが、それでもマンガに現れるものはある。


たぶん、普段から政治的なことはよく考えていない人なのだろう。
そしてお金のために引き受けたのではないか。
(言っておくが、お金のためにマンガを描くのは悪いことではない)


その意味では、普通の感覚の人が、広告代理店が書いた話をマンガにした、
というサンプルができたので、面白いのかも。


でも、私が読みたいのは、マンガ家本人が考えた憲法改正の話である。
それについては、小林よしのりがすでに書いており、「ほのぼの一家」より
よほどインパクトがある。


もっとも、多くのマンガ家は、政治よりもエンターテインメント志向なので、
自分の政治信条をことさら描くメリットはないだろう。


ただ、リベラルが退潮していく現状を考えると、リベラル系のマンガ家が
もっとアピールしてもいいのかもしれない。