遅ればせながら、自民党が出した「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」という
マンガを読んでみた。(pdfファイル)
ひいおじいさん、おじいさん、父、母、息子の5人が登場人物で、憲法がどういう
もので、日本国憲法がどのように成立し、自民党はどうしたいのか、というのを
マンガで描いている。
不思議なことに、このマンガにはひいおばあさんもおばあさんも出てこない。
女性はちょっと頭の弱い母親だけである。
国は男が守るもの、という自民党のマッチョな感覚が出ている。
おそらく、女性は常に戦争反対と言ってきたし、憲法改正には賛成しないから
出さないで、という指示があったのではないか。
シナリオを書いた広告代理店の分析は正しいかもしれないが、マンガの
ノウハウはないと見た。
外国が憲法改正を何度もしている、ともあるが、憲法のどの部分を改正したのかは
全く触れていない。
日本が憲法を改正しようと、連合国が国連の常任理事国である限り、敗戦国である
ことには変わりがない。
などのツッコミは野暮というものだろう。
↓
私が自民党の広報なら、憲法改正のマンガは弘兼憲史に依頼する。
「加治隆介の議」という作品があるので、同じ主人公を使ってもいいだろう。
そして、ユニクロとワタミとゼンショーグループに出資してもらい、各店舗で
マンガを無料配布してもらう。
なんだったら、加治隆介がユニクロの服を着て、ワタミで仲間の議員と話をし、
すき家で牛丼を食べることを盛り込んでもいい。
自民党の憲法改正を支持する人は、そういう層の人たちだから、こうかはばつぐんだ。
↓
そもそも、このマンガを描いた人は、憲法改正についてどう思っているのか、
全く分からない。PRマンガなのだから、作者の主張は入れてはいけないのは
分かるが、それでもマンガに現れるものはある。
たぶん、普段から政治的なことはよく考えていない人なのだろう。
そしてお金のために引き受けたのではないか。
(言っておくが、お金のためにマンガを描くのは悪いことではない)
その意味では、普通の感覚の人が、広告代理店が書いた話をマンガにした、
というサンプルができたので、面白いのかも。
でも、私が読みたいのは、マンガ家本人が考えた憲法改正の話である。
それについては、小林よしのりがすでに書いており、「ほのぼの一家」より
よほどインパクトがある。
もっとも、多くのマンガ家は、政治よりもエンターテインメント志向なので、
自分の政治信条をことさら描くメリットはないだろう。
ただ、リベラルが退潮していく現状を考えると、リベラル系のマンガ家が
もっとアピールしてもいいのかもしれない。