
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/12/12
- メディア: Kindle版
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大河ドラマ「花燃ゆ」が始まったので興味が出て読んでみた。
前半は吉田松陰、後半は高杉晋作の話である。
吉田松陰は、私から見ると「面倒くさい兄ちゃん」である。
ある意味ピュアな人なのだが、その純粋さが周りに迷惑をかける。
幼いころから叔父の玉木文之進にぶん殴られながら教育されてきた、
というエピソードを読んで、なぜだかジャッキー・チェンを思い浮かべた。
(ジャッキー・チェンも、子供のころから想像を絶する中国武術の訓練を
受けている)
幼少期に虐待に近い教育を受けた人は、死ぬことを恐れないどころか、
積極的に死にたがるようになるのかもしれない。
それはどうでもいいことで、文庫版のあとがきを読むと、司馬遼太郎は
吉田松陰が嫌いだったと書いている。
なるほど、それで前半は妙に読みにくかったのか、と納得できた。
吉田松陰を妙に持ち上げようとする人が現れるときは、日本が
きな臭くなってくる時期なのかもしれない。
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一方、高杉晋作はロックスターのような生涯を送っており、司馬遼太郎の
筆も乗っている。
こんな破天荒な人は、もっとドラマとかになってもいいはずなのに、あまり
人気がない。
いや、人気がないというのは語弊があるかもしれない。
坂本龍馬に比べたら、ということである。
たぶん、他の藩の人と積極的に協力しようとしなかった部分が、物語にする
とき広がらないからではないだろうか。
あとは、結核で死んだので、劇的な最後ではなかった、というのもあるかも
しれない。
しかし、28歳になる前に死んだというのに、これほど濃い人生を送った人も
珍しいのではなかろうか。
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それにしても、吉田松陰があれほど行きたがった西洋に、伊藤博文たちは
あっさりと秘密留学している。
高杉晋作も、密かに上海に偵察に行っており、なんというか吉田松陰の
要領の悪さというか運の無さが哀れである。
幕府に力がある時期は、それほど海外渡航が難しかったのだろうか。
朝鮮半島に渡るぐらいなら、何とかできそうなもので、そこから上海に
出たら、あとは欧米に行く船に乗れそうなものだが、そう簡単にはいかな
かったのだろうな。
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