Boaz2015-01-30

数日前の日経ビジネスオンラインに、アップル社のデザイナーである
ジョナサン・アイブの記事が載っていた。


彼はインダストリアルデザイングループの上級副社長だそうだが、
会社の経営全般にはあまり興味がないらしい。
ただ、スティーブ・ジョブズは彼にデザインに関する最終決定権を
与えており、現在もその地位は変わっていないようだ。


デザイナーにこのような決定権を与えている大企業は、そんなに
多くないだろう。
おそらく、そこが競争力の差なのだと思う。



どういうわけか、多くの経営者は、デザイナーに好きなことをさせたら、
無駄なものばかり作る、と思っている。
予算をきっちり管理して締め付けてやらないと、あいつらはいくらでも
金を浪費する、とさえ思っているかもしれない。


当然ながら、そういう会社の製品のデザインの最終決定権は、デザインが
よく分からない人が握ることになる。
その結果、不毛なやりとりが繰り返されて、市場にはダサい商品しか出て
来なくなる。


経営者は、デザインなんて、ちょっと見栄え良くいじるだけだろう? と
勘違いしている。
もしかしたら、使い心地の良いものを持ったことがないのかもしれない。
あるいは、持っていたとしても、深くその理由を考えたことはないのだろう。


そういうデザインに関して愚鈍な人が威張っている社会は、ダサい。
いつになっても洗練されない。



不思議なことに、日本の若者のファッションは世界最先端を行く。
アパレル業界は、工業製品と違って低コストでデザインを実現できる
からだろうか。


だが、若いときにさんざんオシャレを楽しんだ女性たちは、急速に
保守化しておばさんになる。これもよく分からない。


さらに言えば、この感覚が工業製品に対して全く生かされていない。
(女性向けの携帯電動歯ブラシのようなものはあるが、もっと一般的な
ものに対するインダストリアルデザインのことである)


豊かな発想のデザイナーはいるはずだが、彼らを使いこなせない経営者が
ほとんどなのだろう。
目の前にある資源を埋もれさせて、株主の方ばかり向いているから、
消費者にそっぽを向かれるのである。