石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?

タイトルの質問にあっさり答えると、埋蔵量は石油開発会社が決める。


本書の p88 によれば

 大雑把にいうと、「資源量」とは、地中に存在するすべての炭化水素量のことで、
不確実性の高い順に「未発見資源量(unidentified resource)」、「推定資源量
(estimated resource)」、「原始資源量(in-place resource)」と呼ぶ。EIA
(米国エネルギー情報局)が発表しているものは、「原始資源量」のうち「技術的に
回収可能な資源量」である。これがどの程度、経済性を持って実際に生産できるかは
現時点ではわからない。


 一方、「埋蔵量」とは、この「技術的に回収可能な資源量」のうち、通常の方法で
経済的な採掘が可能なものを言い、回収可能性の度合いに応じて「確認埋蔵量(proved
reserve)」、「推定埋蔵量(probable reserve)」、「予想埋蔵量(possible reserve)」
という。(中略)
 通常、「埋蔵量」と言うとき、それは「確認埋蔵量」を指し、ほぼ全量を経済性を
もって生産することが可能である。
 資源量と埋蔵量とはまったく異なった概念なのである。

とある。


つまり、技術的に可能かつ黒字になる油田にある石油が「埋蔵量」と呼ばれるもので、
技術革新があったり、原油の市場価格が上がったら「埋蔵量」も増える、ということだ。


これで長年の疑問だった、石油の埋蔵量はあと30年、という言葉の意味が分かった。
小学生のころ、そういう話を聞いて怖くなったのを憶えている。
実際、30年経っても普通に原油は採掘されているわけで、あの言葉は嘘ではなかった
のだが、ずいぶん紛らわしくもあった。


他にも、日本が購入しているLNG価格はどうして高いのか、という理由も書いてあり、
エネルギー問題に興味のある人は読んで損はない一冊だと思う。


ただ、筆者は、このまま右肩上がりに成長したいなら、エネルギー問題を考えるべきだ、
というスタンスで、人口減少による経済活動の縮小については、あまり考えていない
ようだ。そこが商社マンの限界かもしれない。