- 作者: 行方昭夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/10/20
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (5件) を見る
A:単なる努力不足です。
本書を要約すれば、こうなるだろうか。
↓
英語を熟知している人が、噛んで含めるように文科省の英語教育政策を
批判している良書である。
そもそも、喋れるというのがどのくらいのレベルなのか。
「もっと英会話を!」という人々は、ビジネスで通訳が必要ないぐらいを
想定しているのだろう。
が、商売というのは会話能力ではなく度量あるいは胆力の問題である。
外国の商売敵に負けた恨みつらみを、学校教育のせいにするあたりが、
いかにも短慮で他責的な愚かさを露呈してる。
↓
本書で私が面白かったのは、ドナルド・キーンやサイデンステッカーが
誤訳をしていた、という話だった。
もっとも、筆者は揚げ足取りをしているわけではなく、日本語に熟達した
人でさえ、母語話者なら考えられないようなミスをするのだから、言葉と
いうのは本当に難しい。簡単に英会話ができるようになると考えてはいけ
ない、と諭している。
↓
小学生から英語を必修化するのは、百害あって一利なしである。
子供が九官鳥のように英語を喋って喜ぶのは、英会話業者とバカな親だけだ。
私は、母語はOSで外国語はアプリケーションソフトと考えている。
子供は幼少期に一度だけOSをインストールできる。
そのOS上で様々なアプリが動くのである。
だから、OSをインストールしている時期に、別のOSも欲張って入れようと
しても、よほどメモリとCPUに余裕がないと、フリーズしてしまうだろう。
帰国子女の多くは、OSを再インストールしなければならなくなる。
英語帝国主義に煽られて、母語をないがしろにするのはいかがなものか。
でも、2020年の東京オリンピックに向けて「外国人をおもてなしするため」
という名目で英会話業者が儲けるのだろうな。