Boaz2014-09-30

娘。12期発表。これは推せる! 



100メートル走で人類は9秒台まで到達した。
しかし、このまま速くなって、100年後には5秒台になっているか、と
予想するのは馬鹿げている。


ラソンでも人類は2時間をもうすぐ切りそうである。
だからといって、100年後には1時間を切れるかというと、無理だろう。
身体的に現在の記録が限界に来ているからだ。


からだを動かす世界では、誰も無茶なことは言わない。
ドーピングしたりサイボーグ化すれば可能かもしれないが、生身の
人間の可能性と限界は、ほぼ共有されているからである。


だが、経済では常に以前よりも儲けないといけないことになっている。
もはや金儲けは身体性をとっくに離れて、無限の欲望の世界に突入して
いるからだ。



我々は、マクロ的にはもう十分豊かになっている。
なのに、どうして毎日死ぬほど働かなければならないのだろうか。


働くのが楽しい人はそれでよろしい。
いや、本当はよろしくないが、本人が働きたくてしょうがないのなら、
止める理由はない。


みんなが歩いているときに、一人だけ走りだして「俺、いっちばーん!」と
離れたところで叫んでいる子供と同じである。
ただし、それを他の人に強要してはいけない。


みんなが慌てて彼に釣られて走りだすのは、走った先に何かいいものが
あって、それを独占されてしまうと思うからである。
かつてはそういうこともあった。
だが、今はもう何もないのである。



資本家は、とにかく生産性を上げなければ競争に勝てないと言う。
その競争は何のための競争かというと、最後の一人に勝ち残るための
競争である。


チャンピオンになれば、すべての富を独占できると思っている。
その自己満足のために、膨大な人が無駄な競争を強いられている。


みんな、欲しいものがなくなっているのに、いったい何の生産性を
上げればいいのだろう。
これ以上、何を便利にすればいいのだろう。


我々はすでに9秒台の100メートル走者である。