くさいはうまい

くさいはうまい (文春文庫)

くさいはうまい (文春文庫)

主に発酵食品に関するウンチクが書いてあって「もやしもん」と
ともに読むと面白いと思う。


においはなかなか言語化できないもので、香水の種類も柑橘系とか
ムスク系とか言うけれども、あの香り、と直接伝えるには、お互い
に同じブランドの香水を知っていなければならないだろう。


また、人によっては臭いものが好きで、自分でも臭いと思うけれど、
ついつい嗅いでしまうことがある。
においは脳の皮質の古い部分で処理しているから、理性的な判断
ではやめられないのかもしれない。


それにしても、著者の小泉武夫は実にいろんなものを食べている。
カラスも狐も狸も蝉も蚕やカブトムシの幼虫などなど、なんでそんな
ものを? というものまで口にしている。


味も、本当のところは自分で食べてみないと分からないわけで、
とにかく食ってみる姿勢には頭が下がる。



私は魚介類が嫌いで、スーパーの鮮魚売り場の前も臭いから通らない
ようにしているほどだ。


一方で、ニンニクは大好きで、他人が食べていても気にならない。
ドリアンも好きだし、ドクターペッパーも好きだ。
たいていのチーズもいけるし、パクチーも大丈夫である。
どうも平均的な日本人とはちょっとずれているようだ。



それで思い出したが、小中学生のころはバスのにおいがダメだった。
路線バスはべつになんともなかったが、貸し切りの、遠足や修学旅行
などで利用するバスに乗り込むと、あの座席のにおいでもう酔って
吐きそうになる。今でもちょっと嫌だ。


新車の中のにおいもやっぱりダメで、あれは座席のポリウレタン樹脂
から出ているらしい。
最近になって、においの出ない種類ができたそうだが、今まで何も
してこなかったということは、ほとんどの人はあのにおいが平気だった
ということである。なんて鈍感な。



そんな私も、とうとう自分の加齢臭に気がつくようになった。
これまでも他人に嫌な思いをさせていたかもしれないが、こんなに
お爺さんのようなにおいがするようになるとは、ちょっと驚いた。


オーデコロンでも買おうかと思ったが、誰にも会うことはないから
やめた。