Boaz2013-08-17

前の日に書き忘れたことがあった。
小説と音楽の関係というか、使い方である。


物語の重要な部分が、とても有名なポピュラー音楽だった場合、その
小説を読んだ感動は、文章と音楽のどちらからもたらされたものなの
だろうか。



どちらもでいいじゃないか、という意見に賛成したいのだけれど、
小説はあまり音楽に頼らないほうがいいのではないか、とも思う。


例えば、初期の村上春樹はポピュラー音楽を使って、読者を小説の
世界にうまく導いていたが、あくまでも道具として扱っていたよう
に思う。


あまり力量のない作家だと、自分の主張するものを音楽に丸投げ
していることがあり、楽曲の力を借りるのはいかがなものか、と
苦言を呈したくなる。



映像作品の場合は、音楽を効果的に使うのが前提になっている。
小説は映像作品とは違うものだと、保守的な私なんかは考えて
いるので、クライマックスにはこの曲を脳内で補完して下さい、
みたいな作品は、どうしても厳しい目で見てしまう。


しかし、そういう区別をしない方が面白いものが生まれるかも
しれない。
村上龍電子書籍のための音楽を坂本龍一に作曲してもらった
そうだ。売れ行きはどうだったのか知らないが、試みとしては
良いと思う。


サウンドトラックがついた小説が一般的になったとしたら、それ
はそれで楽しそうだ。