この歳になって、自分がインテリアに全く興味のないことを知った。
全くというのは言い過ぎだが、部屋を自分のイメージ通りにしたい
という欲望がほとんどないのだ。
ただ、ほとんどの人も、インテリアのイメージは誰かの借り物である。
雑誌だったり憧れの人の部屋だったりを真似しているにすぎない。
本当に確固たる想像力のある人は、自分で設計図をひくぐらいのことを
しているはずだ。
だが、普通の人は建築家にはなれないから、有り物から選ぶのである。
インテリア業界も、そこは心得たもので、こういう感じにしたい、という
パターンをいくつか用意しており、巧みに誘導している。
なので、借り物の中で暮らしているから、最初のイメージをキープでき
なくなり、部屋が荒れる。
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じゃあ、自分が必要な条件って何だろう、と考えてみる。
この場合、お金は関係ないものとする。
そうすると、まずコタツが置ける部屋でなければならない。
足が冷えるから、床暖房では追いつかないからだ。
それと、大きめのテレビがあればいい。オーディオに凝る方ではないが、
できればいい音響で聴きたい。
それから、すぐ寝られるようにベッドの方がいい。
和室に布団もいいのだが、万年床になりそうな気がする。
さらに付け加えるなら、大きい本棚がいくつか置ければ満足だ。
西洋の豪邸にある、壁一面が本棚というのに憧れるが、自分が持っている
のはマンガや新書ばかりなので、人に見せびらかすようなものではない。
あとは、広いキッチンがあれば言うことはない。
そこに大きめの冷蔵庫を置ければ完璧だ。
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自分で書いてみると、なんじゃこりゃ、という感じである。
俗物臭がハンパない。
こんな貧困なイメージしか持てないのが哀しい。
私が思うに、個性的で趣味が良い部屋というのは、何かの趣味の延長上
にあるような気がする。
釣りが好きな人やバイクが好きな人は、きっとその趣味が快適になる
ような部屋をイメージするはずで、そこにはブレがない。
そういう趣味がない人は、なんとなく他人のイメージの寄せ集めに
なるのだ。
こういうことは、義務教育では教えてくれないような気がする。
親からの文化資本というものだろうか。