レスリングの除外というニュースで、オリンピックは胡散臭いものだ、
と思う人が増えたのではなかろうか。
もはやクーベルタン男爵の理想はどこかへ消えて、84年のロサンゼルス
オリンピックからスポンサー集めに必死になった拝金集団である。
オリンピックより盛り上がる世界大会のある競技はどのくらいあるだろう。
サッカーとテニスとゴルフぐらいか。
米国だけだとフットボールと野球とバスケットボールがある。
あと英連邦のクリケットか。
建設的な方向としては、オリンピックというブランドを捨てて、各競技
ごとの独自の世界大会を企画・運営していく、というのがある。
TBSが必死になって中継している世界陸上なんかは、そのひとつだ。
ただ、マイナーなスポーツは競技人口が少ないだろうから、スポンサーも
集まらない。
本来は、そのような競技のためのオリンピックなのだが。
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オリンピックより盛り上がる競技は、プロ選手が莫大な報酬を受け取る
スポーツである。
オリンピックは、もともとアマチュア選手のための祭典だったはずで、
ちゃんと棲み分けをしなければならないと思うのだが、開催費用が増えて
きたのでスポンサーが金を出し口を出し、今のかたちになってしまった。
それでもオリンピックのメダルのブランドは輝き続けている。
国家の威信を背負い、アナウンサーが絶叫する。つられて私も興奮する。
が、終わってみると、過去の大会のメダリストの名前を、ほぼ完全に
忘れているのだが。
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産業構造がこのまま変わらないとするならば、先進国では格差が広がり、
底辺層はスポーツを楽しむどころではなくなるだろう。
と同時に、才能のある子供は、よりお金の稼げるスポーツを選ぶよう
になる。
つまり、マイナーなスポーツの競技人口はどんどん減っていくと予想
される。そもそも少子化で人口そのものが減少しているわけだし。
新興国はどうか。
BRICsと呼ばれる国で、ロシアと中国は、もともとオリンピックに力を
入れているからそれほど変化はないだろう。
ブラジルとインドはどうなるか分からない。
途上国はスポーツをする環境が整っていないので、よほど運が良くないと
大会に出場できないだろう。内乱がある国は論外だ。
そう考えると、オリンピックがどんどんつまらなくなっていく可能性が
ある。いくらメディアが煽っても、チャンネルを変えてしまう人が出て
きたら、存続の危機である。
私は、あと40年ぐらいしたら、オリンピックがそれほど盛り上がらない
ものになっているような気がする。
それをこの目で確かめられないのが残念だ。