トイ・ストーリー3

トイ・ストーリー3 [DVD]

トイ・ストーリー3 [DVD]

映画館で見ようと思っていたら終わっていたので、今日のテレビ放送を
楽しみにしていた。期待を裏切らない面白さだった。


もうさんざんレビューされているだろうから、私が書くようなことは
何もないのだが、子供のころのおもちゃと決別する、という文化につ
いて考えてみたい。


どんな文化圏でも、子供から大人になるときに何らかのイニシエーション
があるという。
かつてはバンジージャンプだったりライオン狩りだったりする地域もあっ
たようだが、現代社会だと何になるのだろう。
日本だと就活がそれにあたるかもしれない。


ある共同体で大人と認められたら、子供文化に属するものからは卒業し
なければならない、という暗黙のルールがある(と思う)。
それが、ここ20年ぐらいで薄らいできた。


特に日本では、オタクの認知とともに、大人文化圏と子供文化圏の違い
がはっきりしなくなったように思える。
フィギュアを集めたり、キティちゃんグッズを買い求める大人は、日本
では普通だ。


外国ではどうなのか。欧米では、まだ大人と子供の境界線がはっきり
しているのではないか、と「トイ・ストーリー3」を見て思った。
大学入学をきっかけに、ウッディを近所の子供にあげるアンディは、
もうおもちゃで遊ぶことはないだろう。
彼は大人の世界へ行ってしまったのだ。


しかし、逆説的だが、一度子供文化を棄てないと、大人として異性と
結婚して家庭を作ることができないのではないか、とも思う。
自分の子供を通じて、ふたたび子供文化に接するのである。


統計的にはどうなっているのか分からないけれど、オタクが結婚して
いる割合と、非オタクが結婚している割合は、後者のほうが高いので
はなかろうか。


もっとも、時代が進んで大人文化も子供文化も混ざり合ってしまえば、
そのような区別が無意味になってしまい、みんな子供のままでいいと
いうユートピアが生まれる可能性もある。


なにより「トイ・ストーリー3」は、米国では珍しい(かもしれない)
子供文化を大事にする大人たちが作った映画だ。
それが大ヒットしたのだから、世界は変わり始めているのかもしれない。