Boaz2012-05-25

今日の朝日新聞竹中平蔵のインタビューが載っていた。
一部分だけをとりあげてあれこれ言うのはフェアではないが、引用する。

 政府は成長戦略を考える前に、変な政策をやめるべきです。企業に余剰人員を
抱え続けさせる雇用調整助成金や、中小企業の借金を銀行に塩漬けにする金融円
滑化法が典型例です。必要なところに労働力が回らないし、銀行は新たな貸し付
けができない。


 成長の基本は民間の自由度を高めること。税負担を小さくし規制緩和をやる。
それが王道です。


エコノミストが陥りがちな思考だが、オレの考える通りにやったら
全部うまくいく、という枠組から抜け出せないでいる。
そりゃ、理論通りにいけばうまくいくだろう。それを阻害するもの
はすべて外部にある、という他責的は態度はいかがなものか。


竹中平蔵の理論の最大の欠点は、努力すればみんな優秀な労働者に
なれる、という前提である。
雇用の流動性を高め、新たな産業に投資すれば必ず経済は成長する、
というのはもっともだ。


だが、雇用の流動性はみんながグローバル競争に勝ち抜く能力を
持っているから機能するのであって、一度ドロップアウトした普通
のひとが再就職しようとすれば、どれだけの履歴書を書かなけれ
ばならないのか、たぶんこの人は知らない。
知っていたとしても、それは努力不足でしょ、で終わりである。


小泉政権で中間層を破壊しておいて、ぬけぬけとこのようなイン
タビューを受けているのは、本人にまったく悪気がないからだ。
むしろ善意に溢れていると言ってもいい。


雇用の流動性がうまく働かないのは、教育のシステムの問題だ、
と考えているのだろう。
今は移行期間で、調整にちょっと手間取っているだけだ、と。
そのために生活保護が過去最大になったり、自殺者が年間3万人台
をずっとキープしているのも、I don't care. なのだろう。


私の言っていることは素人のイチャモンにすぎないので、専門家
からすれば的外れも甚だしいはずだ。それは分かっている。
けれども、こいつはインチキ野郎だ、という私の勘は、いつか歴
史が証明してくれると思う。