■

数年前の夏に、めったに入らないファミレスで食事をしていたら、
隣の席の大学生たちが就職の話をしていた。

なんとなく聴いていると、どうやら松山大学の学生らしい。
バンダイを受けるとかエントリーシートがどうとか、いろいろと
情報交換していた。

だが、はっきり言えば松山大学から大手商社など人気ランキング
に載っているような大企業に就職できる人は、ほとんどいないだ
ろう。
（そういう会社に就職できたら幸せとは限らないけれども）

最近は、全員に可能性があるという言葉を真に受けて、身の程知
らずの会社にエントリーしては落とされる大学生が多いと聞く。
気の毒な話である。

がんばればどんな夢だってかなう、という世迷いごとを、誰かが
はっきりと否定してあげなければならないが、誰もそんな汚れ役
は引き受けない。

むしろ、地元の身の丈に合った仕事でがんばるのが幸せにつなが
るのだ、ということを教えなければならないのだろう。
仕事すらしていない私が言うのはおかしいのだが。