荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦がベスト作品に挙げた映画を、半分ぐらいしか見てい
ない。
私はホラー映画があまり好きではないのだな、ということがよく
分かった。


でも、荒木飛呂彦の語り口はホラー映画に対する愛に溢れており、
ちょっと見てみようかな、という気にさせる。


ホラー映画というと、見る人を怖がらせるのが大きな目的だが、私
は外国のホラー映画を見て本当に怖かったことがない。
どこか別の世界の出来事だと脳が処理しているのだろう。


文化の違いというか、ゾンビとかスプラッター映画などは、グロく
て気持ち悪いな、とは思うけれど、家に帰ってもそれを引きずるこ
とはない。


私が本当に怖かったのは、映画版「リング」だけである。
何の予備知識もなしに吉祥寺の映画館に見に行って、あまりに恐怖
に座席の肘掛けをつかんだ思い出がある。


レイトショーで見たものだから、家に帰っても消してあるテレビが
怖くてしょうがなかった。
あの怖さは何だったんだろう。殺人鬼が襲ってくるよりも、怨念の
方が怖いということなのだろうか。


もちろん、荒木飛呂彦「リング」を好きな作品に入れているが、
彼がベストだと思うのは原作に忠実なテレビ版だそうだ。


映画評論家ではなく、マンガ家が語るのが面白かったので、こうい
う企画をどんどんやってほしい。