Boaz2011-10-17

政治や経済の安定のためには、中間層がマジョリティでなければ
ならない。
一握りの大金持ちとその他の貧乏人、という構成では、経済成長
もできないし、体制も不安定になる。


だから、新興国は中間層を増やすように、教育制度を手厚くし、
雇用を増やしてきた。
普通の人がそこそこの生活をすることで内需が生まれ、全体が成
長していくのだ。


一方、先進国は中間層を破壊して、低賃金の誰にでもできる仕事
か、高賃金の難しい仕事しか選択できないようにしている。
普通の人が普通の賃金で普通の仕事をするのはコストがかかるの
で無駄だ、というわけだ。
(何が普通か、というツッコミはあると思うが)


経済評論家の人は、みんな努力して高賃金の仕事に就けるように
しよう、とあっさり言う。
低賃金の仕事しか得られないのは、お前の努力が足りないからだ、
と。


では、中間層というのはどういう理由で中間層になっているのだ
ろうか? 


ある国の人口に占める、平均的な能力の人の割合があるとしよう。
この人たちは、みんな高いスキルを身につけるポテンシャルを持っ
ているかもしれないが、ほとんどは平凡な人々である。


平凡な人の平凡たる所以は、死ぬほど努力をする根性もなければ、
生まれ持った才能もないところにある。
そこそこの才能でそこそこの努力をするから平凡なのだ。


彼らは怠け者だから、金融工学も理解できず、高級官僚にもなれず、
スマートフォンの開発もできないのだろうか。
そうかもしれない。


だが私は、株主様のお金を増やす奴隷になるために異常な努力をす
るぐらいなら、寝転んで本でも読むことを選ぶ。


ウォール街を占拠している若者たちも、中間層を破壊しているのは
誰なのか、と問うているのではなかろうか。


私は米国の若者たちが、もうアメリカン・ドリームなんか信じない、
と宣言しているように思える。