近所のネコが、夜中に窓から誘ってくる。
外へ出て、近所の公民館の方へ向かうと、うしろをついてくる。
ネコと夜中に散歩するのは楽しい。
公民館の敷地は小さな公園もある。
ネコは興奮して必ず木に登る。
わりと高いところに登っても、自力で降りられるようになった。
さらに興奮すると、茂みから茂みにダッシュする。
私が追いかけると、よけいに楽しいらしい。
客観的に見ると、夜中に得体のしれないオッサンがネコと遊んで
いるのである。通報されかねない。
ふと、公民館の壁を見ると、街灯に照らされたところにびっしり
とアブラゼミがとまっている。20匹ぐらいはいるだろうか。
これだけセミが密集していると、ちょっと怖い。
人が近づく気配を感じたのか、そのうちの何匹かがぶわっと飛び
回った。耳元をアブラゼミが駆け抜け、ぶぉん、と鈍い音をたて
る。
私はネコを置き去りにして、うちまで逃げ帰った。
翌日、ネコは何事もなかったようにうちの玄関先で昼寝をしてい
た。
こんなことを繰り返していると、夏は終わる。