- 作者: 辛酸なめ子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/03/09
- メディア: 新書
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学生のとき、経済コンサルタントの事務所でバイトをしたことがある。
当時はメールがなかったので、ニュースレターをお得意に配達する仕事
だった。
そこで働いていた20代半ばのお姉さんと、事務所で雑用中に話をした。
おっとりしていて、いかにもお嬢様という雰囲気だった。
「ほら、わたし山脇だから……」
とお姉さんは言ったが、私は首都圏の女子校について何の知識もなかっ
たので、きょとんとした顔しか返せなかった。
お姉さんは、ふふっと笑って
「そういう学校があるの」
と言った。
私は彼女のティーカップについたルージュの跡を見てドキドキしていた。
その後、ちらほらと断片的な女子校の情報は入っていたが、この本でき
ちんとカテゴライズされているのを見て、なるほど、と腑に落ちた。
私は8年ぐらい吉祥女子校のすぐ近くに住んでいたことがあり、本書に
よれば《勉強系 性超越タイプ》に分類されている。
通学時に大量にすれ違うのが怖かったのだが、たしかに真面目そうな
子が多かったような気がする。
実は一度だけ、私の郵便受けの中に吉祥女子の文化祭の招待券が入って
いたことがあった。
誰ひとり知っている子はいないので不思議だったし、文化祭当日は兄の
結婚式だったので行くことはできなかった。
いま思うと惜しいことをした(行っても何もなかったと思うが)。
ただ、この本でいろいろ言及されていることは、特殊な人々のことで
あり、地方で普通に暮らしている人間にとってはラノベ程度の真実味
しかない。
なにしろ、松山だと女子校は2校しかなく、そのうちのひとつは水曜日
を英語で書けないレベルの子が進学するところである。
そんなところに幻想など持ちようがないではないか。
私はむしろ、著者の辛酸なめ子の考え方に興味がある。
この本では、わざわざ女子校の学校説明会や文化祭を取材したり、登
校風景をマンガにしたりしている。
また、この人はときどきアイドルの握手会の現場を見に行って記事を
書くこともある。
どうも、少女の処女性について並々ならぬ関心があるようで、それは
女子校で育ったからなのかどうか、掘り下げてほしかった。
ちなみに女子校のいじめといえば、桐野夏生の「グロテスク」だろうか。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/09/01
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女子校もののマンガだと川原泉の「笑う大天使」シリーズが面白かった。
- 作者: 川原泉
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1996/09/01
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