
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/09/19
- メディア: 新書
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彼が小学生のときの体験を書いたもので、その中に、自分は小学生の
ころから鉄道オタクだった、という描写があった。
学者になってからも、その趣味を捨てることなく、このエッセーに凝
縮させたのが本書である。
天皇についての著書もあるので、皇室と鉄道のつながりなどの話題も
あるが、話題は多岐にわたっており、読んでいて飽きない。
あとがきも味わい深い。
宮脇俊三と比較するのもおこがましい、とあるが、内田百輭や阿川弘
之から続く鉄道エッセーの衣鉢を継ぐのは原武史だろうと思う。
東大大学院の助手が任期満了になり、山梨学院大学→明治学院大学と
移っている。山梨学院大学に勤務していたころは精神的に不安定だっ
た、とあり、私はなんとなく小谷野敦を思い出した。
オタク的な趣味とアカデミックな学識がひとつになったもの、という
のは、なかなか見つからないし、あってもあまり面白くない。
(例えば「ガンダムと日本人」とか)
この鉄道エッセーは、それがうまくいった一冊だと思う。
好評なのか、同じ講談社現代新書で2と3も出ている。
読むのが楽しみである。