君塚良一はいつからダメになったのか? 

映画「踊る大捜査線3」を見てきた。
びっくりするぐらいつまらなかった。
ゲームで例えるなら、「サクラ大戦4」ぐらいがっかりした。
誰にも伝わらない例を挙げて申し訳ない。


この映画の失敗の原因は、脚本の君塚良一にある。
全くやる気がなかったのか、何が面白いのか分からなくなったのか、
とにかく最低の出来だった。


確かに、いかりや長介は亡くなり、水野美紀はなぜかキャスティング
できず、織田祐二と柳葉敏郎の仲が悪い、という悪条件があっただろ
う。


だからといって、昔逮捕された小泉今日子を引っ張り出してくること
はなかった。
新しい悪役が思いつかないんだったら、制作するべきではない。


私は脚本家の君塚良一のファンだったので、どのあたりからダメにな
ったのか検証してみたい。


Wikipedia によると、テレビドラマの脚本は以下の通りである。


* 『太陽にほえろ!』(日本テレビ) - 脚本家デビュー作(小川英との共作)
* 『心はロンリー気持ちは「…」』(フジテレビ)
* 『Wパパにオマケの子?!』(日本テレビ、1987年)
* 奇妙な出来事『待合室』(フジテレビ、1989年)
* 『季節はずれの海岸物語』(フジテレビ、1991年・1992年) 第4弾〜第6弾を執筆
* 『世にも奇妙な物語』(フジテレビ)
o 『さよなら6年2組』(1991年)
o 『モルモット』(1991年)
o 『急患』(1991年)
o 『戦争はなかった』(1991年)
o 『ハッピーバースデー・ツー・マイホーム』(1991年)
o 『震える愛』(1992年)
o 『逆転』(1992年)
o 『怪我』(1996年)
o 『あけてくれ』(2004年)
* 大人は判ってくれない『きっとひとりで歩いていける』(フジテレビ、1992年)
* 『ずっとあなたが好きだった』(TBS、1992年7月クール)
* 『あの日に帰りたい』(フジテレビ、1993年1 月クール)
* If もしも『花を愛するか、宝石に生きるか』(フジテレビ、1993年)
* 『誰にも言えない』(TBS、1993年7月クール)
* ボクたちのドラマシリーズ『時をかける少女』(フジテレビ、1993年2月〜3月)
* 『青春の影』(テレビ朝日、1994年7 月クール)
* 『ヘルプ!』(フジテレビ、1995年1 月クール)
* 『ナニワ金融道』(フジテレビ、1996年)〈青木雄二原作〉
* 『コーチ』(フジテレビ、1996年7月クール)
* 『ナニワ金融道2』(フジテレビ、1996年)〈青木雄二原作〉
* 『踊る大捜査線』(フジテレビ、1997年1 月クール)
* 『コーチスペシャル』(フジテレビ、1997年10月)
* 『踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル』(フジテレビ、1997年)
* 『ナニワ金融道3』(フジテレビ、1998年)〈青木雄二原作〉
* 『湾岸署婦警物語 初夏の交通安全スペシャル』(フジテレビ、1998年)原案
* 『世界で一番パパが好き』(フジテレビ、1998年7 月クール)
* 『踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル』(フジテレビ、1998年)
* 『深夜も踊る大捜査線』(フジテレビ、1998年10月)[3]
* 『ナニワ金融道4』(フジテレビ、1999年)〈青木雄二原作〉
* 『グッドニュース』(TBS、1999年4月クール)
* 『TEAM』(フジテレビ、1999年10月クール)[4]
* 『ナニワ金融道5』(フジテレビ、2000年)〈青木雄二原作〉
* 『ラブコンプレックス』(フジテレビ、2000年10月クール)
* 『さよなら、小津先生』(フジテレビ、2001年10 月クール) - 2004年11月26日にスペシャルで続編を放映
* 『恋人はスナイパー』(テレビ朝日、2001年・2002年)
* 『ホーム&アウェイ』(フジテレビ、2002年10月クール)
* 『深夜も踊る大捜査線 2』(フジテレビ、2003年7 月)[5]
* 『ナニワ金融道6』(フジテレビ、2005年)〈青木雄二原作〉
* 『弁護士 灰島秀樹』(フジテレビ、2006年10 月28日)
* 『役者魂!』(フジテレビ、2006年10月クール)
* 『警護官 内田晋三』(フジテレビ、2007年1 月27日)
* 『はだしのゲン』(フジテレビ、2007年8月10日・8月11日)〈中沢啓治原作〉
* 『ファイブ』(NHK総合、2008年1 月5日)〈平山譲原作〉
* 『課長島耕作』(日本テレビ、2008年)〈弘兼憲史原作〉
* 『課長島耕作2〜香港の誘惑〜』(日本テレビ、2008年)
* 『誰も守れない』(フジテレビ、2009年1月24日)
* 『華麗なるスパイ』(日本テレビ、2009年)
* 『ニュース速報は流れた』(CSフジテレビNEXT、2009〜2010年・全10話)
* 『球形の荒野』(フジテレビ、2010年)〈松本清張原作〉


さすがに多い。
売れっ子になるのは、冬彦さんが話題になった1992年の「ずっとあなたが
好きだった」からで、「踊る」シリーズでブレイクしている。


私が思うに、2000年の「ラブコンプレックス」あたりからおかしくなったの
ではないか、と推測する(平均視聴率15.1%)。


続く「さよなら、小津先生」は面白かったので、「TEAM」のような教育もの
に関しては、まだいけるのではないかと思える。


だが、「恋人はスナイパー」や「ホーム&アウェイ」で決定的に失敗し、以
後は連続ドラマの依頼がほとんど来なくなっている。
「ホーム&アウェイ」は、中山美穂が旅先から自宅のある東京へ戻る話だが、
私は1話目で見るのをやめた。いまだにDVD化されていない作品である。


おそらく連ドラの脚本家として再起をかけた「役者魂!」も酷かった。
藤田まこと松たか子が空回りをして、子役が騒いでいた印象しかない。
視聴率的にも惨敗し(平均9.68%)、君塚は一線から消えた。


なので、君塚良一は「踊る」シリーズの脚本家として再登板したわけだが、
肩がぶっ壊れていたのか、以前のような投球はできずに終わった。


私の勝手な推測では、君塚はネット社会の中傷に絶望しているのではない
か、と思う。
今回の「踊る3」の映画でも、ネットカフェでパソコンを操作する犯人の
若者たちを、ただ気味の悪い人間としか描いておらず、小泉今日子もスマ
ートフォンを手放さない。


彼が感じた気持ち悪さは分かるのだが、そこに足元をすくわれて、魅力あ
る脚本を書けなくなったとしたら残念でならない。