去年の3月に原作の小説を読んでいたので、楽しみにしていた。
で、観終わって、面白かったんだけど、後味も悪かった。
省略しているエピソードもあったけど、かなり忠実に映画化されており、
キャスティングも完璧だった。
この映画の成功は、九分九厘、松たか子を主役にしたからだろう。
あの底意地の悪そうな演技ができる人は、なかなかいないと思う。
映像的には、なんというかリリカルな雰囲気で、見たことはないけど
「ぴあフィルムフェスティバル」に応募された作品のようなイメージだ。
音楽の使い方や、何度も挿入される雲の情景がそう思わせる。
中学生たちも、リアルな年齢の子たちを起用しており、自意識過剰な幼稚
さや残酷さをうまく引き出せていた。
特に美月役の橋本愛が可愛かった(彼女もまだ中学生なのですね)。
今後に期待したい。
この映画を見た記念に、ひとつ私も告白をしようと思う。
それは、私が最初に松山で勤めた塾の話である(私をいきなりクビに
したところではない)。
松山に戻ってきて就職しようと思い、その塾(以降N塾とする)の面接
を受けたのだが、落とされてしまった。
別にどうしても行きたいところではなかったので、ああそうですか、と
返事をして、その後すっかり忘れていた。
半年ぐらいして、うちに電話があった。
N塾の塾長だった。
前に面接をしたのだが、まだ就職が決まっていなければ、ぜひ来てほし
い、ということだった。
ああそうですか、とさっそく就職した。
県立高校の受験の一か月前だった。
引き継ぎをすることになり、私と入れ替わりで辞めるT先生と会った。
T先生はノンプロの野球選手をしていたが肩を壊して野球を諦め帰郷
した、ということだった。26歳ぐらいだったと思う。
なんで塾の先生になったのか、と訊くと、ドラマ「スクールウォーズ」
に憧れたからだ、と言った。
熱血先生を本気でやりたい人を私は初めて見た。
メルアドを交換して、引き継ぎの後も何度か話をした。
はっきり言って頭はよくない人だったが、クビになるような感じでは
なかった。
N塾は当時教室が市内に2つあり、講師は塾長のN先生と私の二人だけ
だった。ただ、英語の授業はアルバイトの講師をひとり入れていた。
このアルバイト講師から、私はT先生がクビになった原因を聞いた。
彼によると、T先生は中3の女子生徒とデキちゃったらしいのである。
そのことを、どういういきさつか知らないが、自分から塾長に喋った
のだそうだ。
塾長は当然、激怒してクビにした。
受験の一か月前に講師を変えたのにも納得がいった。
私はT先生本人にこのことを問いただした。
T先生は悪びれもせず、そのとおりだと言った。
その生徒の名前も聞いて、あのまじめそうな子が、と驚いた。
お互いに合意だったと言うが、親にしてみればたまらないだろう。
それ以降、私はT先生を遠ざけるようになり、しばらくすると何の連
絡もなくなった。
T先生は塾をクビになった後、通信教育で高校の国語の教員免許を得
て、県立N高校の非常勤講師兼野球部のコーチになっていた。
それからのことは知らない。